2018年8月22日水曜日

ベネズエラ北部で M7.3


8月22日午前6時31分ごろ(日本時間)、南米のベネズエラ北部沿岸で M7.3、震源の深さ約120kmの地震がありました(震央地図)。

震源付近では、南アメリカ・プレートに属する大西洋の海底がカリブ・プレートの下に沈み込んでいます(プレート境界図)。大西洋では数少ない沈み込み帯です。

米国地質調査所(USGS)の解説を以下にまとめました:
  • ベネズエラ北岸近くで発生した今回の M7.3 の地震は、斜交逆断層に起因する稍(やや)深発地震である。

  • 発震機構解は、東西の走向をもつ急傾斜の断層か、南東方向の走向をもつ浅い角度の断層が滑ったことを示している。

  • 震央付近では、南アメリカ・プレートがカリブ・プレートに対して1年あたり 20mm の速さで西に移動している。

  • 南アメリカ・プレートは、今回の地震の震央から東に約 550km 離れた場所からカリブ・プレートの下に沈み込んでおり、今回の地震の震源付近では深さ 150km 近くに達している。

  • 今回の地震はカリブ沈み込み帯の南端付近で発生した。

  • この地域のプレート境界は、浅い場所ではサン・セバスチャン-エル・ピラル断層系に沿ったトランスフォーム断層に変化している。

  • 今回の地震の深さと発震機構解は、浅い場所の右横ずれトランスフォーム・プレート境界よりも、南アメリカ・プレートの沈み込んだリソスフェアの内部の断層と整合的である。

  • 通常、地震の発生場所は点で表されるが、地震の規模が大きい場合には面で表す方が適切である。今回の地震を起こした斜交衝上断層の規模は約 65×25km(長さ×幅)である。

  • 今回の地震のように、震源の深さが 70~300km である地震は、稍深発地震(intermediate-depth earthquake)とよばれる。稍深発地震は、沈み込んだリソスフェア内部の変動を示している。

  • 今回の地震が発生した地域では、震源の位置は深さ 180km 近くまで高い信頼度で決定できている。

  • 今回の地震が発生した地域では、M6+ の地震が17回観測されているが、大きな地震は稀である。今回の地震は、震央から半径 250km の範囲内で20世紀と21世紀に発生した地震としては最大規模である。この地域でこれまでに発生した被害地震はすべて震源が浅かった。

南アメリカ・プレートと北アメリカ・プレートの境界は、間にカリブ・プレートが挟まっているところははっきりしているのですが、大西洋ではどこに境界があるのか、教科書などにはいちおう境界線が引いてあるのですが、明確な地形的特徴がなくすっきりしません。インド・プレートとオーストラリア・プレートの境界もそうです(プレート境界図)。


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