2009年2月3日火曜日

リダウト山に噴火の兆候(続報)

1月30日付で書いた「リダウト山に噴火の兆候」という記事の続報です。日本の気象庁は、浅間山の警戒レベルを上げた後、短時間で実際の噴火が始まり、内心ほっとしているのではないでしょうか。一方、AVO(アラスカ火山観測所)は、リダウト山の警戒レベルを上げてから 1週間が経過しても、火山に大きな動きがなく、困難に直面しています。

以下は、『アンカレジ・デイリー・ニュース』紙の記事です:
以下は記事からの抜粋です:
  • リダウト山の不穏な動きが2週間目に入り、「いつ噴火するのか」という問い合わせが AVO に殺到。(1日あたり)数百人の人びとが内部情報を求めてAVO に電話、さらに数千人の人びとが AVO のウェブサイトにアクセス。金曜日、トラフィックの極度の集中によって AVO のサイトはクラッシュした。
  • 問い合わせの中には「ハワイ行きの飛行機の切符を持っているんだけれど、火山の噴火は飛行に影響しないですよね」と確認を求めるものや、「8時になるまでは噴火しないように全力を尽くして」というものもある。
  • 普通は噴火した後に問い合わせの電話が増えるものだが、今回はまだ噴火していないのに人びとの関心が非常に高い。リダウト山についてこれほど関心が高いのは、1989年の噴火のさい、231人の乗客を乗せてアンカレジに向かっていた KLM オランダ航空のジャンボジェット機がリダウト山の噴煙に突入し、Talkeetna Mountains に衝突する寸前までいったことが影響しているのだろう。
  • FAA(連邦航空局)は、リダウト山から 10マイル(約16km)以内の領域では、高度 6万フィート(約1万8000メートル)以下の飛行を禁止している。
  • リダウト山の活動は強まったり弱まったりしている。ここ数日から数週間のうちに噴火する可能性の方が、噴火しない可能性より高い。しかし、噴火することなく活動がおさまってしまう可能性もある。リダウト山について唯一詳細なデータが残っている 1989年の噴火では、地震動が始まってから 24時間たたないうちに噴火がおこった。
  • アラスカの火山は、そのマグマの粘性が高いため、爆発的な噴火をおこす傾向がある。
  • 現在、リダウト山の7合目から8合目にかけて、新しい火口が 2つできている。山頂にたまった雪氷には、地熱によって崩壊したための孔が開き、2筋の泥流が山腹に流れ出している。
アメリカ空軍は、火山からの降灰を避けるため、アラスカに配備している軍用機を南のワシントン州に避難させ始めています:
日本の浅間山とアラスカ・リダウト山を対照して伝える記事も出ています:
なお、AVO のウェブサイトは、日本時間 1月30日(金)夜からつながりにくかったり、つながっても最小限の情報しか表示されない状態が続いていましたが、今夜18:00現在では正常に戻っています。以前より応答時間が短縮されているように感じます。おそらく、ウェブサーバーの処理能力を増強したものと思われます。数分ごとに更新される「24時間リアルタイム連続波形」は必見です。リダウト山の脈動が手に取るようにわかります。詳しくは、1月30日付の記事「リダウト山に噴火の兆候」をご覧ください。

Photo: The Redoubt Volcano part of the Aleutian Range in Alaska's Lake Clark National Park; Credit: Copyright © Bruce Molnia, Terra Photographics; Image source: Earth Science World Image Bank