非常に明るくなり久々の肉眼で見える彗星になると期待されていた ATLAS彗星は分裂して暗くなってしまいましたが、新たな彗星が4月11日に発見されました。この新彗星は肉眼でも見えるようになる可能性があり、 SOHO(Solar and Heliospheric Observatory、太陽・太陽圏観測機)に搭載されている SWAN(Solar Wind ANisotropies instrument、太陽風異方性観測装置)の観測データから見いだされたため SWAN彗星と呼ばれています(正式には C/2020 F8):
SWAN彗星は非常に細長い楕円軌道を描いて公転しており、公転周期は約2500万年。前回太陽のそばまでやって来たのは漸新世。
現在は「ちょうこくしつ座」を移動中で南半球からしか見ることができません。4月16日現在の明るさは 7.8等級で、双眼鏡でも見えるとのこと。今後、5月12日に地球から 8330万kmのところを通過し、5月27日には太陽まで 6440万kmの近日点を通過すると予報されています。
現在の増光ペースが続けば、5月の最終週には3等級に達し肉眼でも見えるようになると予測されています。このころには北半球でも見えるようになりますが、日没後の西北西の地平線近くや日の出前の東北東の地平線近くで、観測条件としてはあまりよくなさそうです。
懸念材料としては、突如観測されるようになった経緯から、この彗星は急激な増光の最中であり、数日から数週間後には暗くなってしまうのではないか、あるいは ATLAS彗星と同じように分裂してしまうのではないか、といった指摘がなされています。
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