アラビア半島のオマーン(地図)に分布するオフィオライトから採取された地殻とマントルの境目の岩石です。右側の白い部分が地殻最下部の斑糲岩、左側の黒い部分がマントル最上部の橄欖岩です(拡大写真):
Credit: 海洋研究開発機構(JAMSTEC) |
採取された経緯などについては以下を参照してください:
オフィオライトは、過去の海洋プレートが陸上に乗り上げて露出している岩体です。海洋プレートは中央海嶺から押し出された一枚岩のようなイメージがありますが、実際には層状の構造をしています。以下は、非常に大まかな海洋プレートの構造です(岩石の種類を細かく分類するともっと複雑になります):
- 海底堆積物
- 玄武岩(枕状溶岩)
- 玄武岩(平行岩脈群)
- 斑糲岩(塊状)
- 斑糲岩(層状)
- 橄欖岩(層状)
- 橄欖岩(塊状)
『三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち』(ブルーバックス B-2015、講談社、2017)から引用
1~5が海洋地殻、6~7が上部マントル、1~7の全体が海洋プレートです。上の写真は5と6の境界部ということになります。
地殻とマントルの境目では地震波の速度が急激に(不連続に)変化します:
マントルでは地殻と比べ地震波が不連続に速い。この事実は、マントルが地殻よりも剛性率が不連続に高く、物理的に強固で変形しにくい、すなわち硬いことを示す。この見解は二十一世紀の現在でも広く受け入れられており、「地殻は硬くマントルは柔らかい」とする十九世紀の常識と相反する。
マントルが固体であることの証拠としては、地震波のS波が伝わることが教科書などに書かれよく知られていますが、証拠はそれ以外にも多々あります。上に書かれているように、地震波の速度が速いこともその一つです。
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