2018年6月4日月曜日

小惑星 2018 LA が大気圏突入 (その2)


小惑星 2018 LA が大気圏に突入したことについての NASA の発表です:

以下は発表の要旨です(日時は特に明記しない限り米国時間です):
  • 6月2日土曜日の朝、大きな岩ほどのサイズの小惑星が発見され、仮番号 2018 LA が付与された。地球への衝突コースにのっており、数時間後に衝突すると判断された。

  • この小惑星は非常にかすかなため、直径2mほどと推定された。このサイズでは大気圏内でばらばらに分解し地表に到達しないため安全である。

  • この小惑星を発見したのはアリゾナ州ツーソンにあるカタリナ掃天天文台(Catalina Sky Survey)で、NASAが予算を拠出し、アリゾナ大学によって運営されている。

  • 詳細な予測をするには観測データが不足していたが、小惑星の突入場所はアフリカ南部からインド洋を横切ってニューギニアに達する帯状の地域と計算された。土曜日の夕方、アフリカのボツワナ(地図)上空に明るい火球が出現したとの報告(複数)があり、この計算と調和している。

  • 小惑星は協定世界時16時44分(ボツワナ時間午後6時44分)ごろ、秒速10マイル(秒速17km)で地球の大気圏に突入、地表から数マイルの上空で分解し明るい火球となって夕方の空に輝いた。目撃者多数、ウェッブ・カメラにも録画された(YouTube動画)。

  • 発見されたとき、この小惑星は月の軌道付近にあった。カタリナの望遠鏡が撮影した一連の画像に(動きが速いため)線状に写っていた。

  • 小惑星捜索の常として、観測データは速やかにマサチューセッツ州ケンブリッジにある小惑星センター(Minor Planet Center)に送付され、暫定的な軌道が計算された結果、地球に衝突する可能性があると判明した。

  • 続いて、観測データはカリフォルニア州パサディナにあるジェット推進研究所の地球近傍天体研究センター(Center for Near-Earth Object Studies、CNEOS)に送られ、自動スカウト・システムが当該小惑星が地球衝突軌道にのっている確率が高いと判定。自動的に小惑星観測者のコミュニティに警報が送られ、さらなる観測が促された。

  • 警報はワシントンにあるNASA本部の惑星防衛調整オフィスにも送られた。ただし、今回は当該小惑星が小さく無害であると判断されたため、NASAが衝突警報を出すことはなかった。

  • 「今回の小惑星は、われわれが任務として捜索し警報を出す対象よりも遙かに小さいものでした。」「しかし、今回の実世界での出来事は、われわれの能力を試し、われわれの衝突予測モデルがより大きな天体の衝突に対応するのに適切であるとの自信を与えてくれました。」(NASA本部、惑星防衛幹部の Lindley Johnson 氏)

  • 小惑星突入直後の可聴域下音(infrasound)データを集めた結果、包括的核実験禁止条約に基づく国際監視システムの観測ステーション1カ所が当該イベントを明瞭に捉えていた。信号はボツワナ上空での突入と合致していた。

  • 「地球衝突軌道上にある小惑星が発見されたのは 2018 LA が3例目です。」「衝突前に衝突場所が予測できたのは2例目です。」(CNEOSのマネージャー、Paul Chodas氏)

  • 1例目は、2008年10月7日にスーダン北部で夜明け前の空に輝いた 2008 TC3。今回の小惑星より少し大きく直径約4m。衝突の19時間前に発見されたため、多くの追加観測がなされ、軌道が精確に計算できた。

  • 2例目は、2014 AAで、2014年1月1日に大西洋に落下する数時間前に発見された。追加の観測をおこなう時間がなく精確な軌道を計算できなかった。

  • 今回のものを含めて3例はいずれもカタリナ天文台が発見。観測者はいずれのケースも Richard Kowalski 氏だった。

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