5月20日付「溶岩流爆撃作戦とパットン将軍 (その2)」からの続きです。
キラウエア山の溶岩流による被害が広がっている現在、溶岩流による破壊を阻止する方法はないのでしょうか。
ビッグ・アイランド(ハワイ島)でキラウエア山の溶岩流によって住宅地が破壊され続けている現在、人々は再び次のように思い始めています――破壊をくい止めるために何かできることはないのか、と。
現時点では、それに対する答えは「ない」です。人々にできる最善の方法は、今まさにやっているように避難することです。しかしそのような答えでは、人々はあれこれ憶測することをやめないでしょう。
「溶岩流を逸らす技術は非常にシンプルで、溶岩流の動きを観察しその結果を利用すれば可能です」と USGS は言っています。
「傾斜地に戦略的に障害物を配置すれば、理論上は、溶岩流を開発の進んだ地域からあまり開発の進んでいない地域へ逸らすことが可能です」と USGS は述べています。「溶岩流に向かって放水し冷却することでも、理論的には、進行する溶岩流の先頭部分を固めて、後続する溶岩の流れを他の経路に向かわせることができます。爆薬を使うことも理論上は可能です。溶岩洞(溶岩チューブ)や溶岩の流路、噴出口にできた障壁を爆破によって破壊し、溶岩の流れを別の方向に向かわせたり、脅威となる溶岩流の源を断つことができます。」
現代の、より強力な爆弾は、(マウナ・ロアに対して最初の爆撃が試みられた)1930年代に使われた非力な兵器よりも有効なのではないでしょうか?
「おそらく」というのが、米国地質調査所(USGS)の J.P. Lockwood と アメリカ空軍の F.A. Torgerson の答えです。「兵器や戦術、航空機の投下装置や発射装置は(マウナ・ロアに対して2度目の爆撃が試みられた)1942年以降、劇的に進歩しています」と彼らは指摘しています。
しかし、これまでに実施された真剣なテストはパットン将軍(当時は中佐)によるものだけだ、と指摘しているのは火山学者の Jess Phoenix です。そして最近のツイートで次のように述べています――パットン将軍は1935年にマウナ・ロア山の溶岩流に対する爆撃を本当に試みた。結果を先に言うと、爆撃は効果がなかった。溶岩はちっぽけな人間の使う爆弾を気にもとめなかった。そうなることはわかりきっていたのだ。火山の女神ペレに不敬を働いてはならない。
(完)
- マグマ溜まりに孔をあけてしまった男たち (08年12月18日)
- キラウエア山の噴煙の色が突然変化 (09年3月31日)
- 連続噴火 10000日 ― ハワイ・キラウエア山 (その 1) (10年6月7日)
- 連続噴火 10000日 ― ハワイ・キラウエア山 (その 2) (10年6月7日)
- 民家が溶岩に呑み込まれる ― ハワイ島 (10年7月27日)
- 驚くほど浅いところにあったマグマ溜まり ― ハワイ (10年12月25日)
- キラウエア山で群発地震、マグマ上昇 ― ハワイ (11年2月18日)
- キラウエア山で新たな割れ目噴火 ― ハワイ (11年3月7日)
- キラウエア山で新たな割れ目噴火 ― ハワイ (続報) (11年3月9日)
- キラウエア山のマグマが過去最高レベルに ― ハワイ (12年10月25日)
- キラウエアの溶岩流で非常事態宣言 ― ハワイ (14年9月11日)
- キラウエアの溶岩流が居住地域に到達 ― ハワイ (14年10月29日)
- オレゴン州沖で海山が噴火、キラウエア山では溶岩湖があふれ出す (15年5月6日)
- マウナ・ロア山の警戒レベル上昇 ― ハワイ (15年9月24日)
- キラウエア微笑む (16年8月2日)
- ハワイにはなぜ2つの火山列があるのか (17年6月2日)
- ハワイ・キラウエア山に噴火の恐れ (18年5月3日)
- ハワイ島で M5.0 (18年5月4日)
- ハワイ・キラウエア山が噴火、住宅地で溶岩噴出 (18年5月4日)
- ハワイ・キラウエア山が噴火、住宅地で溶岩噴出 (続報) (18年5月4日)
- ハワイ・キラウエア山が噴火、住宅地で溶岩噴出 (続報-2) (18年5月5日)
- ハワイ島で M6.9 (18年5月5日)
- ハワイ・キラウエア山が噴火、住宅地で溶岩噴出 (続報-3) (18年5月6日)
- ハワイ・キラウエア山が噴火、住宅地で溶岩噴出 (続報-4) (18年5月7日)
- 溶岩流に飲み込まれる自動車 (18年5月8日)
- ハワイ・キラウエア山が噴火、住宅地で溶岩噴出 (続報-5) (18年5月14日)
- ハワイ・キラウエア山の警戒レベルが〝RED〟に (18年5月16日)
- ハワイ・キラウエア山の警戒レベルが〝RED〟に (続報) (18年5月16日)
- キラウエア・カルデラが沈降 (18年5月17日)
- キラウエア山体崩壊と大津波? (18年5月17日)
- キラウエア山大噴火 1924年5月18日 (18年5月19日)
- 溶岩流爆撃作戦とパットン将軍 (その1) (18年5月19日)
- 溶岩流爆撃作戦とパットン将軍 (その2) (18年5月20日)
- キラウエア山頂の爆発的噴火 (18年5月20日)
- ハワイ島 流出溶岩の広がり (18年5月24日)
- キラウエア山 地下のマグマの動き (18年5月27日)
- キラウエア山 溶岩流が地熱発電所敷地内に (18年5月29日)
- キラウエア山 17号亀裂から異常な溶岩 (18年5月29日)