2017年2月6日月曜日

失われた大陸〝モーリシア〟


約2億年前に始まったゴンドワナ超大陸の分裂。それによって生じたさまざまな大きさの大陸性地殻の断片が、薄く引き延ばされてインド洋の海底に散在しているとのことです。研究者たちはそれらを総称して〝モーリシア〟と呼んでいます。南アフリカとドイツの研究チームが Nature Communications 誌に発表した研究成果です(モーリシアの地図):

以下は上掲記事の元になった南アフリカ共和国・ビトバーテルスラント大学の報道発表("Lost continent" found under Mauritius)の主要部分をテキトー訳したものです:
  • インド洋のモーリシャス島の地下に〝失われた大陸〟が存在することが確認された。この〝失われた大陸〟は約2億年前に始まった超大陸ゴンドワナの分裂から取り残されたものである。

  • その地殻の断片は、その後のモーリシャス島の噴火によって噴き出した新しい溶岩に覆われているが、アフリカ、インド、オーストラリア、南極大陸が分かれてインド洋が形成された際にマダガスカル島から分離した過去の大陸の小さな破片であると考えられる。

  • 火山噴火によって噴出した岩石中に含まれるジルコンという鉱物を調べると、この鉱物がモーリシャス島よりもはるかに古い時代の残存物であることがわかった。

  • 地球は2つの部品によって形成されている ― 古い大陸と若い海洋である。大陸では40億年前よりも古い岩石が見つかるが、海洋ではそのような古い岩石は見つからない。なぜなら海洋は新しい岩石が作られる場所だからである。

  • モーリシャスは海洋の中の島で、900万年前より古い岩石は存在しない。しかし、島の岩石を調べると、30億年よりも古いジルコンが見つかる。

  • ジルコンは主として大陸で形成された花崗岩の中に見つかる鉱物である。ジルコンには微量のウラニウム、トリウム、鉛が含まれている。それらは地質学的過程に非常によく耐える。そのため、過去の地質学的過程の記録を温存しており、また、年代をきわめて正確に測定できる。

  • このように古い時代のジルコンが見つかるという事実は、モーリシャス島の地下に、島よりももっと古い時代の地殻物質が存在していることを証明している。そしてその地殻物質は大陸でしか形成されないものである。

  • 数十億年前のジルコンがモーリシャス島で発見されたのは今回が初めてではない。2013年におこなわれた研究では、海岸の砂の中に微量のジルコンが発見された。しかし、発見されたジルコンは風によって運ばれてきたり、車両のタイヤや科学者の靴に付着して運ばれてきた可能性があるという批判を浴びた。

  • 今回発見された太古のジルコンが600万年前の粗面岩の中に含まれていたものであるという事実は、以前の研究を補強し、風や波で運ばれたとか軽石に含まれて漂着したという指摘への反証となる。

  • ゴンドワナ大陸の分裂によって取り残された「未発見の大陸」のさまざまな大きさの断片(「モーリシア」と総称)がインド洋の海底に散在している、と今回の発表をおこなった研究者は示唆している。

  • 今回の新しい研究成果によれば、ゴンドワナ超大陸は単純に分かれたのではなく、複雑に分裂し、さまざまな大きさの大陸地殻の断片が拡大するインド洋に取り残され漂ったことになる。