今回、箱根山の火山活動が活発化した際に、箱根町の町長は県知事をも巻き込んで「箱根隠し」に奔走し、所管大臣を通じて気象庁に圧力をかけました。このような姿勢を見ると、箱根山の地元は本当に観光客や住民の安全を第一に考えているのだろうか、自分たちの観光収入を維持することの方を優先させているのではないのか、との疑念が涌いてきます。
自分たちの観光収入を守るためなら地元はここまでやるという事例が「災害史は語る No.143 阿蘇山噴火と観光災害」に紹介されています。1979年9月6日に阿蘇山が爆発的噴火を起こし、大量の噴石が観光客を直撃して、死者3人、重軽傷者16人という痛ましい結果になったのですが、これは地元が地図を改竄してまでロープウェイの運転を強行したことが招いた「人災」でした。
以下は上記の記事から、事件の経緯を抜粋・引用したものです:
- 阿蘇山測候所は9月5日、火山情報を発表して注意を喚起したのだが、地元の反応は鈍いものであった。
- 9月6日午後1時6分、中岳第一火口が大音響とともに爆発、横なぐりに飛んできた噴石によって、仙水峡ロープウェイの終点「火口東」駅と、展望台のある楢尾岳とのあいだを往復していた観光客が死傷した。
- 「火口東」駅は、中岳第一火口から約850mの距離にある。1km規制円の内側にあるのだから、(中略)ロープウェイも運転されていてはならないはずである。
- 地元の阿蘇火山防災会議協議会が作成した地図(中略)それを見ると、「火口東」駅は、なんと1km規制円の外に出ていた。
- 地図の上で「火口東」の駅は、1km規制円の外にあることにして、ロープウェイを運転していたのである。
- 「観光優先、安全は二の次」という地元の姿勢が招いた“人災”であった。
その後、地元の関係者が処罰されたのか否かはわかりませんが、未必の故意による殺人や傷害の罪に問われて然るべき「犯罪」です。
観光地の地元がいくら「安全ですよ~」とアピールしても、真に受けてはいけません。話半分、いや、話一割程度に聞き流す方が賢明です。信じて馬鹿を見るのは自分です。彼らにはウソをつく十分な動機があるのですから。
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