日本の大手メディアは沈黙していましたが、今年3月、コーラ飲料に発がん物質が含まれていると伝えられました。米国の消費者団体「公益科学センター」(CSPI)が指摘したことが発端です。コーラに色をつけるために使われるカラメル色素に、製造工程で化学物質が加えられることによって発がん性のある〝4-メチルイミダゾール〟が発生するというものでした:
- 米FDA:炭酸飲料の化学物質、直ちに健康被害のリスクない (3月6日)
- コーラに 発がん性物質!? アメリカFDS「直ちに健康被害ない」 (3月7日)
もちろん業界は反発し、米食品医薬品局(FDA)も1日1000缶以上飲まなければ危険はないとの立場でした。ところが、カリフォルニア州の法律で定められている〝4-メチルイミダゾール〟の1日当たりの摂取許容量が29マイクログラムであるのに対して、コカ・コーラやペプシの1缶にはその3倍を超える100マイクログラム以上が含まれているため、業界は〝4-メチルイミダゾール〟に発がん性があるとする見解を否定しつつも、カリフォルニア州の基準を満たすように製造レシピを変更するということになりました。この際、レシピの変更が「米国外での製品に適用されるかどうかは不明」と伝えられていました:
- コーラとペプシに「発がん性物質」、製法を変更へ (3月10日)
- コークとペプシ、発がんリスク表示を回避するために米国でレシピ変更 (3月11日)
世界中で製造レシピが安全なものに順次切り替えられていくだろうと安易に考えていたのですが、資本主義の企業に性善説的な行動を期待をするのは間違いだったようです。法律で規制しなければ、彼らは商品の安全性を高めようとはしないようです。まずイギリスで火の手が上がりました:
- Calls to ban Coca-Cola colouring linked to cancer that is still available in Britain despite U.S. health alert (米国で健康被害への警告が出ているにもかかわらず英国では依然として使われている発がん性のあるコカ・コーラ着色料の禁止を要求; 6月25日)
- Call to ban cola ingredient linked to cancer (発がん性のあるコーラ含有物の禁止を要求; 6月26日)
米国の消費者団体「公益科学センター」(CSPI)が新たに検査したところ、カリフォルニア州で販売されているコーラでは、〝4-メチルイミダゾール〟が1缶(12液量オンス、355ml)あたり4マイクログラムに低下している一方で、米国内の他の州や米国外で販売されているコーラでは依然として100マイクログラムを超える〝4-メチルイミダゾール〟が検出されたとのことです。最も量が多かったのはブラジルの267マイクログラム、次いでケニアの177マイクログラムです。ブラジルでは、カリフォルニア州が法律で定める1日当たりの許容摂取量の実に9倍超が1缶に含まれていることになります。日本の数値は1缶当たり72マイクログラムで、カリフォルニア州の含有量の18倍、同州の定める許容量の約2.5倍です(各国の検出量の表はここにあります):
- U.S. group flags chemical levels in Coke sold abroad (米国の団体が海外で販売されているコークの化学物質含有レベルについて警告; 6月26日)
- Tests Show Carcinogen Levels in Coca-Cola Vary Worldwide (コカ・コーラに含まれる発がん物質のレベルが世界各国によって異なることが試験によって示された; 6月27日)
- Coca Cola urged to cut out carcinogen (コカ・コーラは発がん物質を取り除くよう求められている; 6月27日)
- CocaCola rejects cancercausing claim (コカ・コーラは発がん性があるとの主張を否定; 6月28日)
- コカ・コーラ、米国外製品の発がん性の化学物質の量を削減せず (6月30日)
日本の大手新聞やテレビ局はこの件について報道していないのではないでしょうか。私が最近ニュース番組で見かけたコーラ関連報道としては、以下の日本コカ・コーラの発表を受けたヨイショ報道だけでした:
私自身はコーラ好きです。でも3月に上記の報道を見てからは、コーラを買うのを躊躇するようになりました。福島の原発事故以降は緑茶もまったく口にせず、海外産であることがはっきりしている紅茶やウーロン茶に切り替えています。だんだん飲み物の選択肢が狭まって行くようです。
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