6月11日付「オリンピック・アルマゲドン (その1)」からの続きです。
以下がその文書です。現在もロックフェラー財団のウェブサイトで読むことができます:
- Scenarios for the Future of Technology and International Development (科学技術と国際的開発の将来に向けてのシナリオ、PDF形式)
上記文書の34ページ目に以下のような「シナリオ」があります。ロンドン・オリンピックでの惨事以外に、地震、津波、飢饉が想定されています。すべて過去形を使って書かれているので、歴史の教科書を読んでいるような気分になります:
Devastating shocks like September 11, the Southeast Asian tsunami of 2004, and the 2010 Haiti earthquake had certainly primed the world for sudden disasters. But no one was prepared for a world in which large-scale catastrophes would occur with such breathtaking frequency. The years 2010 to 2020 were dubbed the “doom decade” for good reason: the 2012 Olympic bombing, which killed 13,000, was followed closely by an earthquake in Indonesia killing 40,000, a tsunami that almost wiped out Nicaragua, and the onset of the West China Famine, caused by a once-in-a-millennium drought linked to climate change.
後半部分を翻訳すると以下のようになります:
2010年から2020年にかけての10年間は〝悲劇の10年〟と名付けられた。そのように名付けられた理由は ― 1万3000人が死亡した2012年オリンピックへの爆撃、その直後に起き4万人の死者が出たインドネシアの地震、ニカラグアのほぼ全土を壊滅させた津波、そして、気候変動に関連するとみられる1000年に1度の干ばつによって引きおこされた中国西部の飢饉が始まったこと、である。
2010年に出された文書ですから、当然のことながら2011年3月の東日本大震災に相当する出来事はシナリオに含まれていませんが、大きな災厄が立て続けに起こる10年間という予測は当たりそうです。
ところで、上記のロックフェラー文書にはなぜ多くのシナリオが記載されているのでしょうか。それは、シナリオ・プランニングという戦略策定のための手法に用いるためです。シナリオ・プランニングについては以下を参照してください:
上に引用したシナリオ以外にも、上記ロックフェラー文書にはたくさんのシナリオが記載されていますが、その中に「Japan」という単語はまったく出てきません。これは喜ぶべきことなのでしょうか、それとも日本の国際的地位の低下を示しているのでしょうか。
(完)