2010年4月26日月曜日

ブーブクエイク (オッパイ地震)

イランの首都テヘランでは、地震に対する警戒感が急速に高まっています。アフマディネジャド大統領は、地震による人命の損失を最小限にとどめるため(別の政治的意図がある可能性もありますが)、テヘランの総人口 1200万人のうち少なくとも 500万人を今後数年のうちに周辺地域に移転させる計画を実施しようとしています。大統領にこの計画を決断させたのは、最高位の聖職者 Ayatollah Aziz Khoshvaqt 師の警告 ―― 無秩序に膨張を続けるこの国の首都は、まさに烈震に見舞われようとしている。数百万人が死滅するだろう ―― でした:

上記 『ワシントンポスト』 紙の記事によれば、Khoshvaqt 師がこのように警告する理由は、悪徳がテヘランにはびこっており、神が罪びとたちを罰しようとしているから、というシンプルなものです。同師は 「自らの罪を悔い改めよ。天罰が下されようとしている。街を去れ」 と礼拝者への説教で語っています。アフマディネジャド大統領は、最近の演説で、同師から(テヘランでの)地震は不可避であると告げられたことを認めています。

このような流れの中で、別の聖職者 Hojatoleslam Kazem Sedighi 師が説教の中で次のように述べました:
Women who do not dress modestly . . . lead young men astray, corrupt their chastity and spread adultery in society, which increases earthquakes.

控えめな服装をしない(イスラム伝統のスカーフや長い丈のコートを着用しない)女性が若い男性を正道から踏み外させ、自らの貞節を貶め、社会に不貞を蔓延させる。それによって、地震が増加する。

この発言が西欧諸国の女性の反発を呼びました。女性の露出度の高い服装によっておきるとされる地震を「ブーブクエイク」(boobquake; boob は女性のバストを意味するので、直訳すればオッパイ地震)と命名し、本当にイスラム教聖職者のいうとおりに地震が増えるか試そうじゃないか、という成り行きになりました。以下は、その運動の「震源地」と見なされている女性(パーデュー大学の大学院生)のブログ記事です:

アメリカの首都ワシントンでは、26日(月曜日)の正午にデュポン・サークルという場所に露出度の高い服装をした女性が集結して気勢を上げ、実際に地震の数が増えるか科学的に確かめてやろうじゃないかということになっています。全米各地で同じような集まりが予定されています。これまでのところ、47000人以上が参加の意向を示しているとのことです。もちろん、イランの聖職者に対する本気の抗議というよりは、ジョーク・嫌味・揶揄といったニュアンスの方が強いのですが、実際のところどれほどの盛り上がりになるのか、明日のニュースを注目したいと思います。


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