2009年6月20日土曜日

体の痛みで地震予知

昨日の朝日新聞朝刊・国際面に「救われるなら予言も信じる」というタイトルの記事が、かなりの紙面を割いて掲載されています。副題は「『痛みで地震予知』に脚光」と「占い『心保つ道具』」。経済危機の影響が深刻な東欧と中欧で、予言や占いの人気が高まっていることを伝えています。「貧すれば鈍する」ということでしょうか。この記事は現時点ではネット上に掲載されていないようです。

その記事の中に、以前このブログの記事「ブルガリアで地震パニック」(4月21日付)で紹介したマヤ・ポポーバ氏についての記述と写真があります。彼女についての情報を上記朝日新聞の記事からまとめます:
  • ブルガリアの首都ソフィアに住む 53歳の主婦。もとはテレビ記者。
  • 痛みによる地震予知のきっかけは、32年前、ソフィアで大きな地震が発生する数日前に、体中が焼けるような痛みに襲われたこと。
  • 痛みの部位によって地震が起きる場所がわかる ―― バルカン半島は右太ももが中心、内側がトルコ、中間がブルガリア、外側がギリシャ; アジアは左腕(日本は左脇の下)、北米・南米と台湾は右腕。
記事によると、ブルガリアでは 1980年代後半(共産主義政権下)、神経系の患者約 70人を対象にして、地震の前後で体の痛みにどのような変化があったかを調べたことがあるそうです。

このような、いわゆる「体感」にもとづく地震予知には、科学的根拠といえるものはほとんどありません。特に、体の部位と地震発生地を関連づけるのはナンセンスです。本人が 〈予知できている〉 と思いこんで、確証バイアスのループに陥っているだけのことだと思います。ブルガリアを含むバルカン半島一帯は日本と同様に地震多発地帯です。予知した地域に偶然地震がおきることもかなりあると思われます。きちんとした統計的検証をおこなって、偶然による的中(まぐれ当たり)の影響を除外すれば、予知できているとは言えないことが明らかになると思います。

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Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency