12月5日05時27分ごろ、九州地方南東沖(北緯31.3°、東経132.6°)で M4.4、震源の深さ約 10km、最大震度 1 の地震がありました(いずれも速報値、震央地図)。
[12月10日追記: 6日に気象庁が発表した暫定値では、M4.4、震源の深さ 53km、北緯 31°23.8' 東経 132°27.9' に更新されています(震央地図)]
「九州地方南東沖」はあまり目にすることがない震央地名です。前回、この領域で有感地震が発生したのは 2018年5月のことです。
九州地方南東沖では、南海トラフが琉球海溝に接続しています。震央の近くでは、北上してきた九州‐パラオ海嶺の海山列が沈み込んでおり、陸側斜面が U字形にえぐられたような形状をしています(上掲震央地図参照)。
以下に、この付近の地形についての記述を『プレート収束帯のテクトニクス学』(木村学、東京大学出版会、2002)から引用します ——
また、南海トラフが九州の沖合で方向を東北東から北北東に変えて琉球海溝になるところでは、九州・パラオ海嶺がぶつかっている。その海溝で大変奇妙な地形が、やはり日仏海溝計画の調査で見つかった。海溝斜面にぽっかりと穴があいたような海溝底からつながったくぼみがあり、その陸側斜面が異様に盛り上がった様子が観察された。重力や地磁気の調査から、その盛り上がった地形の下には、砂や泥からなる付加体ではなく、もっと密度の大きい海洋地殻からなる岩石の存在が推定された。それはくぼみ地形と組み合わせて、すでにある付加体の下に沈み込んでしまった海山であると考えられたのである。
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