これまでは地元紙しか伝えていなかったのですが、大手の『ロサンゼルス・タイムズ』が詳しい記事を11月1日付で載せています:
- A San Andreas fault mystery: The 'slow-moving disaster' in an area where the Big One is feared (「サン・アンドレアス断層のミステリー: 大地震の発生が懸念されている地域で『ゆっくりと移動する災害』」、動画、写真、地図+航空写真+断面図あり)
従来の記事では geyser(間欠泉)、mud pot(坊主地獄)、mud volcano(泥火山)、mud-pot geyser などと書かれていましたが、今回の記事では mud spring(泥混じりの湧水)あるいは単に spring(湧水)とされています。
以下は記事から拾い出した情報です。取材先によって若干の食い違いがみられます:
- 過去の衛星写真によれば、湧水は2015年ごろまでは移動していなかった。移動が顕著になったのは今年の初めごろからである。10年前に記録された位置から240フィート(約73m)以上移動している。
- 湧水は1950年代から記録に残っているが、その後、数十年間にわたって動いていない。移動しているのでは、という兆候が見つかったのは数年前。
- 移動速度が上がり各インフラストラクチャーに脅威となり始めたのは6ヶ月前から。
- 湧水の移動速度は、当初は 2~3ヶ月で 60フィート(約18m)だったものが、その後は 1日で60フィートに加速している(上の「240フィート」と矛盾?)。
- 湧水が線路に近づくのを防ぐために打ち込まれた鋼矢板と岩石の壁(幅100フィート、深さ75フィート以上、約30m×23m)は10月に突破されてしまった。
- 湧水の移動方向には、ユニオン・パシフィック鉄道の線路、北米最大級のエネルギー企業である Kinder Morgan 社所有の石油パイプライン、Verizon社所有の光ファイバー通信ライン、ハイウェイ111号線が通っている。
- 湧水付近には腐った卵のような臭いが漂っている。
- 湧水の温度は華氏80度(摂氏27度)。煮えたぎっているように見えるのは、地下深くから上昇してきた二酸化炭素ガスによるもの。
- 湧水には近づかない方が賢明である。湧水に転落すれば有毒な気体と酸素不足によって数分で窒息死するだろう。湧水から数フィート離れれば二酸化炭素濃度が下がるので安全である。
- 7月に現地を調査した米国地質調査所(USGS)の専門家 ―― 湧水の移動が大地震の切迫した前兆である証拠はない。最近の数ヶ月、該当地域では比較的少数の地震しか発生しておらず、静穏である。湧水の移動は地震活動によるものではない。しかし、過去の地震によって形成された亀裂を通じて地下深部で発生したガスが地上に出てきている可能性はある。
- ソルトン湖(Salton Sea、地図)の南東方向には地熱現象のある場所が線上に分布しており、サン・アンドレアス断層が延伸していることをうかがわせる。
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