5月4日付「ハワイ島で M5.0」と5日付「ハワイ・キラウエア山が噴火、住宅地で溶岩噴出 (続報-2)」の続報です。
現地時間5月4日昼12時33分(日本時間5日午前7時33分)ごろ、ハワイ島で M6.9 の地震が発生しました(深さ5.0km、震央地図)。キラウエア山の火山活動の活発化にともなって発生している一連の地震の中では最大規模です。震央は、キラウエア火山からのマグマが貫入しているとされる東部地溝帯(East Rift Zone)です。現地からは停電や数十cmの海面変動の発生が伝えられています:
- Hawaii’s largest quake since 1975 knocks out power, causes minor sea-level changes (震央分布図あり)
- Hawaii residents describe fear and shock after earthquakes, lava and gas (動画、写真あり)
M6.9 の地震の1時間前にはほとんど同じ場所で M5.4 の地震も発生しています(深さ6.9km、震央地図)。
米国地質調査所(USGS)は資料の中で M6.9 の地震について次のように解説しています:
5月4日にハワイで発生した M6.9 の地震は、キラウエア火山の南斜面、東部地溝帯内部の逆断層で発生した。暫定的な発震機構解は、南西の走向を持つ浅い傾斜角の衝上断層か、南東(?)の走向を持つ急傾斜の逆断層で破壊が生じたことを示している。この地震は、キラウエア山の火山活動と、地溝系や火山体の発達と直接関係している。
また、地震の発生状況については以下のように述べています:
過去1ヶ月間、キラウエア火山の火山活動は高まっていて、過去24時間には M4.5 以上の地震が少なくとも7回発生している。5月3日には、今回の M6.9 が発生した場所の近くで M5.0 が発生している。M6.9 の地震の約1時間前には、同じ場所で類似した発震機構解を持つ M5.4 の地震が発生している。M6.9 の地震から30分以内に、M4.5 以上の余震が4回記録されている。
今回の M6.9 の地震は、1975年のカラパナ地震(Ms7.1、Mw7.4)以降では最大規模である。カラパナ地震では津波も発生し2人が犠牲になった。1975年の地震と津波は、ハワイに410万ドルの損害をもたらしたと推定されている。1975年の地震は、現在の地震活動が起きている浅い地溝帯ではなく、深い場所のデタッチメント断層で発生した。ビッグ・アイランド(ハワイ島)とその周辺では、過去1世紀間に M6 以上の地震が9回起きている。
デタッチメント断層については以下を参照してください:
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