昨年11月にニュージーランド南島北部で発生したカイコウラ地震(M7.8)は、地震学の金科玉条である「5キロメートル・ルール」を破っていた、と指摘されています。少なくとも12の大断層とその他の中小の断層が100マイル(約160km)以上にわたって次々と横ずれを起こし、地震学史上もっとも複雑な地震の一つといわれていますが、最大の問題は、「5キロメートル・ルール」を無視するかのように15~20km離れた断層に破壊が飛び火したことです:
「5キロメートル・ルール」とはどういうものか、『活断層地震はどこまで予測できるか』(遠田晋次著、講談社ブルーバックス 1995)から引用します:
世界中の地震断層データを収集して調べたところ、断層上の破壊(ずれ)の連動と停止には、隔離距離が効いていることがわかりました。横ずれ断層の場合、隔離距離が5キロメートルを超えて破壊(断層のずれ)が進展した例は例はありませんでした。逆にいえば、活断層分布を見て、隣の断層と5キロメートル以上離れていれば、1つの地震を起こす活断層と定義することが可能ということです。これを俗に「5キロメートルルール」といい、活断層分布から最大地震を予測する際に使われています。
カイコウラ地震で「5キロメートル・ルール」が破られたとする見方に対して、2つの断層帯の間に未知の断層が存在しているために5km以上離れたところに破壊が伝搬したように見えるだけだ、と反論する地震学者もいるようです。
ニュージーランドは世界の中でも活断層の調査が進んだ国の一つで、「ベストの活断層マップがある」とされています。もし本当に「5キロメートル・ルール」が破綻していたのだとすると、地震の最大規模の推定を変更する必要が生じ、ハザードマップの作成や損害保険の保険料の算定などに大きな影響が出る、と上記の記事は伝えています。
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