一ヶ月ほど前の記事で『風と雲のことば辞典』から引用しましたが、その姉妹編『雨のことば辞典』(講談社学術文庫)を先日入手しました。エスキモー(呼称問題)には雪や氷に関する語彙が豊富、マフィアのふるさとシチリア島には「殺す」を意味する言葉が数十通りもある、というような話(真偽不明)を聞いたことがありますが、日本には雨にかかわる言葉がたくさんあることを実感できる辞典です。
この辞典で初めて知った言葉をいくつか紹介します。言葉から受ける印象を完全に裏切るような意味を持っているものがあります ―― 霊雨、洗車雨、発火雨、あぶら雨、我がまま雨、私雨、婆威し、雨一番、宇宙由来の雨、雨風食堂、などなど。たとえば、「洗車雨」は自動車が普及してからの言葉かと思ったら、実は起源はずっと古いようで、私たちになじみ深い年中行事に関係しています。
「放射能雨」の説明には以下の様な記述があります:
- 1902年、イギリスの物理学者ウィルスンが、降ったばかりの雨水には放射能があることを発見。「雨水の放射能は約三十分間に半減し、数時間で殆ど消滅する」
- 1905年、ドイツの物理学者ヤウフマンの測定結果 「雨水は皆な多少は放射性をもっているが、雷雨の雨水は放射性が強い」、「シトシトと降り続いた雨水は、放射能が甚だ微弱」、「降り始めの雨水は放射能が強いが、降り止む頃の雨水は放射能が至って微弱」、「雨が降り止んでから暫くしてまた降り出した雨水は、放射能がまた強い」
シカゴ大学のフットボール競技場の観客席下に極秘裏に建設された原子炉が歴史上初めての臨界に達したのが1942年12月、人類最初の原子爆弾がニューメキシコ州の砂漠で炸裂したのが1945年7月でした。したがって、上記の雨水中の放射能は自然由来ということになります。
天然の放射能や放射線については以下も参考にして下さい:
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