古代ギリシャの哲学者・アリストテレスが、地震という現象をどう説明していたかについては、2009年4月27日付の記事「アースクェイク・ウェザー」で触れたことがあります。以下にその部分を再掲します:
暖かい日をアースクェイク・ウェザーとみなす迷信は、アリストテレスに起源があると思われる。紀元前 350年に、この古代ギリシャの哲学者は著書『Meteorologica』(気象論)の中で、地震は地下の大洞窟に閉じこめられた暖かい風によって起こると理論づけた。アリストテレスは、弱い地震は(閉じこめられた)空気が洞窟の天井を押すことによって起こり、大地震は(閉じこめられていた)暖かい風が地表にまで吹きだすことによって起こると考えた。この考えは、『Meteorologica』に記述されている他の多くの概念と同様、科学的妥当性がないと見なされている。
大阪教育大学名誉教授の鈴木善次氏も『科学の歩みところどころ 第20回 地震とは何か』の中で次のようにアリストテレスの考え方を書いています:
アリストテレス(Aristoteles,BC.384~322)は地下にあった蒸気(プネウマ)が勢いよく地上へ吹き出すために起こるのが地震であると説明しており、これは中国人の考えによく似ていて興味がある。
いずれも「暖かい風」なり「蒸気(プネウマ)」なりが地表にまで噴き出すときに地震が起きる、という説明になっています。
ところが、『動物は地震を予知する』(ヘルムート・トリブッチ著、朝日選書、1985)はアリストテレスの震気(プネウマ)説について次のように書いています:
アリストテレスの理論によると、まず大地から震気(プネウマ)が放出され、これが地震現象のスタートとなる。震気(プネウマ)は、水蒸気を濃縮したような一種のガスであるが、水蒸気とはちがって、乾燥していて生暖かく、弾力性をもっている。空気中に震気(プネウマ)が出てくると、独特な雲や霧が発生したり、太陽が薄暗くなったりする。 [中略] こうした予備段階ののち、とつぜん震気(プネウマ)は一気に地中に戻ってゆき、このときに発生する激しい圧力が大地を揺り動かす。やがて地震がすむと、震気(プネウマ)は再び地中から抜け出て、大気上層へ拡散してしまう。
こちらの説明では、震気(プネウマ)が地中に戻っていくときに地震が起きることになっています。この方が地震の前兆現象を説明するには都合がよいと思われます。
どちらの説明がアリストテレスの考えなのか、機会があれば『Meteorologica』(気象論)を見て確認したいと思っています。
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- アースクェイク・ウェザー (09年4月27日)