地球の公転軌道とほぼ同じ軌道を長期間保ち、その明るさの変化から高速で自転しているとみられる直径10mほどの天体〝1991 VG〟。その特殊さから天文学者の中には地球外文明が放った探査機ではないかと考える向きもあります:
1991 VG は、4~5年間は毎年地球に接近し、その後14~21年間はあまり地球に近づかないという周期を繰り返しています。2015年10月10日、2016年10月26日、2017年8月7日、2018年2月11日に地球に近づきますが、その後はあまり地球に近づかなくなり、次の接近は2037年以降になります。今回の一連の接近の中では2017年のものが最も地球に近く約850万kmまで接近しますが、発見された1991年には約46万kmまで近づいています。
1991年の発見当時はこのように高速で回転する小惑星は知られていなかったために、何らかの人工天体ではないかと考えられました。人工天体としてはアポロ12号のロケットの一部という説を筆頭にいくつかの候補が上がりましたが、どれも軌道の計算が合わず、冷戦期にソ連が秘密裏に打ち上げ未だに公表されていないロケットではないかとも言われています。
その後、直径100m程度より小さな小惑星には高速で自転するものがあることがわかり、1991 VG が自然の天体である可能性を排除できないこととなりました。また、月に隕石が衝突した際に飛び出した岩石である可能性もあるのではないかと言われています。その一方で、地球外文明の探査機説も根強く残っています:
関連記事