アメリカ・オレゴン州沖のアクシャル海山(Axial Seamount)周辺で、4月24日から数千回の地震が観測され、同海山が噴火を始めたとみられています:
- Undersea Volcano Apparently Erupts Off Oregon Coast, No Tsunami Threat (地図あり)
- Researchers think Axial Seamount off Northwest coast is erupting ? right on schedule (写真、地図あり)
アクシャル海山は、太平洋プレートとファンデフカ・プレートの境界であるファンデフカ海嶺にあります。ファンデフカ・プレートと同海嶺は北東に向かって移動しており、いずれは北米大陸の下に沈み込み消滅するとみられています(説明図)。
ファンデフカ・プレートは、かつてクラ・プレートやイザナギ・プレートとともに太平洋を覆っていたファラロン・プレートの残滓です。これらのプレートは南から拡大してきた太平洋プレートによって周辺に押しやられ、海溝から沈み込んで消滅してしまいました(説明図)。
所かわって、ハワイ州・ハワイ島のキラウエア山(地図)では、頂上にある溶岩湖内の溶岩のレベルが上昇し、周囲にあふれ出る事態がおきています:
- Recent Kilauea Status Reports, Updates, and Information Releases
- Huge lava lake overflows at Hawaii Kilauea volcano (動画あり)
- Overflow Area Enlarges At Volcano Summit Lava Lake (写真あり)
誤解を避けるために、初めにキラウエア山の山頂部の入れ子構造を少し説明します。山頂部にはキラウエア・カルデラがあり、その中にハレマウマウ・クレーターがあります。さらに、そのハレマウマウ・クレーターの中にオーバールック・クレーター(サミット・ベント)があります(写真参照)。
問題の溶岩湖はオーバールック・クレーターを満たしています。徐々に上昇していた溶岩湖内の溶岩は、4月28日に同クレーターの縁と同じ高さに達しました。その後、溶岩のレベルは上下動を繰り返し、短時間ですが溶岩がオーバールック・クレーターの縁を越えてハレマウマウ・クレーターの底にあふれ出す事態が何回か観測されています。
一方、昨年6月以来続いているキラウエア山東部地溝帯のプウオオ火口からの溶岩流出は今も続いています:
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