6月3日付「草津白根山に火口周辺警報、噴火警戒レベル上昇」の続報です。
草津白根山(地図)では、火山性地震がやや多い状態が続き、火山活動の活発化を示す変動が観測され続けており、噴火警戒レベル「2(火口周辺規制)」が継続しています。以下は気象庁が6月20日に発表した「平成26年 No.25 週間火山概況 (平成26年6月13日~6月19日)」からの引用です:
火山活動の活発化を示すデータが引き続き観測されています。
GNSS観測によると湯釜付近の膨張を示す変動がみられており、全磁力観測では湯釜近傍地下の温度上昇を示す変化がみられています。
また、火山性地震は今期間やや多い状態で経過しました。火山性微動は観測されていません。遠望カメラによる噴気などの状況等、他のデータには特段の変化は見られていません。
気になるのは次の一文です:
湯釜火口から概ね1㎞の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。
主要な観光道路で、草津白根山のそばを通る国道292号線は一部が火口から 1km 圏内に入っています。ところが、地元では何かと理由をつけて国道292号線の規制を緩めています:
夜間は通行止めにする、特定の区間は駐停車禁止にする、職員を配置する等々の対策で規制緩和を正当化しようとしていますが、噴火とそれに伴う噴石の飛来や火砕物の降下は昼夜を問わず突然起こる可能性があり、走っている車であろうが駐まっている車であろうが関係なく襲いかかります。いざ噴火が発生したら、どんなに有能な職員を配置していても、彼らがスーパーマンでもない限り役には立ちますまい。地元は観光優先、安全は二の次なのでしょうか。
阿蘇山では、地元が地図を改竄してまで 1km の規制を回避してロープウェイを運行したために、観光客に死傷者が出たことがあります:
火山噴火のような自然災害にしろ、原発事故のような人為的災害にしろ、地元は災害のリスクを過小評価して安全をアピールしがちです。特に観光産業を抱える自治体にはそのような傾向が見られます。そして、時には「風評被害」というマジック・ワードを使って、安全を疑う声を封殺しようとさえします。観光地の「安全ですよ~」という甘い誘いに対しては、眉に十分に唾をつけて真贋を見極める必要があります。
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