アメリカは大寒波に襲われていますが、先月末、ジョージア州のアトランタ一帯に降った雪が、本当の雪ではなくアメリカ政府が何らかの目的で散布した正体不明の物質だ、という陰謀説が広がっています。
YouTube には、そのように主張する人たちによる実験動画が多数アップされています。彼らの主張をまとめると ―― 「雪」のかたまりにライターやバーナーの火を近づけると、溶けたように凹むが水が出てこない、凹んだところには燃えかすのような黒い物質が残る、また発泡スチロールを燃やしたときのような異臭がする ―― というものです：
- WARNING! Fake Snow! Plastic? Nanobots! Do Not Digest This （警告！ 偽物の雪！ 合成樹脂か？ ナノボットだ！ これを口に入れてはいけない）
- Snow that won't melt? （溶けない雪？）
- ChemTrail/Harp Snow will not burn or melt （ケムトレイル/ハープの雪は燃えないし溶けない）
- INSIDER CONFIRMS - ARTIFICIAL SNOW FALLING OVER US （内部関係者が確認 ― 偽物の雪がわれわれの上に降り注いでいる）
「雪」の正体について様々な主張がなされています。ケムトレイルの一種であるとか、政府が国民の心を支配するための化学物質、あるいはナノマシンである、などなど。
3大TVネットワークの一つもこの話題を取り上げています。開始から1分15秒あたりから雪の陰謀説の解説が始まります。2分15秒から陰謀論者の実験映像、3分11秒からニューヨークの雪でも同じ現象がおきることを示す実験、3分57秒から本物の雪を加熱しても水が流れ出さないことを示す実験の映像が流れます：
結論としては、雪のかたまりに火を近づけた場合、溶けた水は雪のすき間に吸収されて流れ出さない（氷で同じことをすると、雪と違ってすき間がないので水が流れ出す）、燃えかすのような黒い物質はライターやバーナーから出た煤（すす）である、ということです。また、異臭についてはライターやバーナーの炎が冷たい物質に触れたためにガスが不完全燃焼し発生したのではないか、と考えられているようです。
今日は全国的に大雪のようですから、雪に炎を近づける実験をしてみるのも一興かもしれません。
関連記事
- 「炭素観測衛星」打ち上げ失敗は妨害工作? （09年3月1日）
- 豚インフルエンザと陰謀説 （09年5月6日）
- 火星の枕木（まくらぎ） （09年5月19日）
- 月面に 20万年前の彫像 ? （09年6月18日）
- アポロ 11号の着陸地点の最新画像 （その 2） （09年11月10日）
- スーパー･インフルエンザ （09年11月16日）
- 朝青龍の引退 （その 2） （10年2月15日）
- 朝青龍の引退 （その 3） （10年2月17日）
- 地震がおきるわけ： 珍説･奇説の面々 （その３） （10年5月9日）
- 皆既月食と冬至 （10年12月22日）
- エトナ山の噴火と時計が15分進む怪現象 （11年8月3日）
- 地震戦争 ― 日本の反撃が始まった？ （11年8月26日）
- 深さ 10km ちょうどの地震 （その1） （11年8月27日）
- 深さ 10km ちょうどの地震 （その3） （11年9月10日）
- 深さ 10km ちょうどの地震 （その7） （11年10月5日）
- エレーニン彗星の最後の姿 （11年10月7日）
- フォボス探査機失敗と陰謀説 （11年12月1日）
- 寄生虫が人間の感情や行動を支配 （12年4月16日）
- 戦艦アイオワ直下で地震 （12年6月2日）
- オリンピック･アルマゲドン （その1） （12年6月11日）
- 中国政府は知っていた？ 四川省の大地震 （13年4月26日）
- HAARPは地震を起こせるか （13年9月16日）