2013年12月2日月曜日

アイソン彗星は2度死ぬ


「死んだ」と言われたかと思うと、「いや、生きのびた」と言われたりしているアイソン彗星。「ゾンビ彗星」などとも呼ぶ向きもあるようです。

以下のGIF動画をご覧ください。近日点を通過したあとのアイソン彗星の残滓が徐々に拡散して薄れていく様子が捉えられています:

以下の記事には、国際天文学連合(IAU)が12月1日付で出した Electronic Telegram No. 3731 の要旨が掲載されています(オリジナルの Telegram を見るには ID とパスワードが必要)。近日点通過前後のアイソン彗星の状態が記されています:

要旨は以下のとおりです:
  • アイソン彗星の核は近日点通過の数時間前に崩壊。これにともなって、近日点通過の直前に、彗星の頭部の明るさはマイナス2等級からプラス1等級未満に減光した。

  • 近日点通過後に残っているのは、彗星の核に由来する拡散した塵の雲で、背後の星が透けて見えるほど希薄。

  • 太陽観測探査機 SOHO の画像を分析しているジェット推進研究所の Z. Sekanina 氏によれば、アイソン彗星は近日点通過の3時間前に塵の生成を停止している。これは、近日点通過直後に撮影された画像に、大きく丸い核ではなく、鋭く尖った先端が写っていることと符合する。

  • 近日点通過のほぼ12時間前に急激な増光があったが、この直前に彗星の核は分裂したと考えられる。

  • 近日点通過後に現れた太陽の方向に伸びる尾は、近日点通過の1~2日前に放出された塵の微粒子からなり、東の方向に伸びる尾は近日点通過の1時間以内に放出された塵で、グラファイト(黒鉛)と金属元素からなっていると考えられる。

  • 近日点通過のはるか以前に放出されていた大きな塵の粒子の流れは、彗星が太陽の至近距離を通過する際に完全に消滅した。

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