7月8日付「ネス湖の怪獣と湖底の断層 (その2)」からの続きです。
アメリカの科学誌『サイエンティフィック・アメリカン』にも Luigi Piccardi 博士の説に対する論評が載っています:
- Could a Seismic Fault Account for Loch Ness's Mysterious Monster? (ネス湖の謎の怪獣は地震断層で説明できるか?)
以下は上記記事のテキトー訳です:
今週、イタリアの地質学者 Luigi Piccardi は「有名なネス湖の怪獣はこの湖の底を走っているグレート・グレン断層(GGF)によって説明できるかもしれない」と、アメリカ地質学会とロンドン地質学会が開いた多岐の専門分野にわたる会合で示唆した。 Piccardi がネス湖の怪獣とグレート・グレン断層を結びつけたのは、これが初めてではない。実は、彼は神話や歴史上のできごとに対して地質学的な説明を見つけ出すことを専門にしているのである。
たとえば、(古代ギリシャの)デルフィの信託にともなって現れる不思議な幻について。Piccardi によれば、それは、炭化水素を含む地層から断層を伝って上昇してきた幻覚を誘発する蒸気によって引きおこされたものである。さらに彼は、神話に登場する地中に棲む竜の巣といわれるものは、すべて大規模な活断層の上にあるとも指摘している。「そのような場所を神聖視したのは、そこで不思議な自然現象が目撃された結果にほかならない」と Piccardi は述べている。「どのような現象かというと、ガスや炎の噴出、地下から聞こえる轟音、振動、地割れなどである。言うまでもなく(ギリシャ神話の舞台となった)エーゲ海地域は地震が非常に多いので、神話や歴史上のできごとと現象との間に関係があるように見えるのは偶然かも知れない。しかし、地震が少ない地域でもそのような関係が見いだせると私は考えている。」
ネス湖はそのような伝説が形成される場所に位置している。スコットランド高地にある3つの細長い湖の一つであるネス湖は、幅1マイル(1.6km)に対して長さが24マイル(39km)もあり、深さは600フィート(183m)に達する。湖水中の視界は非常に悪く、怪獣やその他の生き物が隠れる深く暗い水域がたくさんある。そこにある断層線は、1901年にマグニチュード5の地震を起こしている。そのような揺れで、ネッシーの伝説が長い年月をかけて形作られてきたことを説明できるだろうか。ネス湖の怪獣についての歴史上最初の報告を考えてみてほしい。それは、7世紀にアドムナン(Adomnan)が記した『聖コルンバ伝』(“Life of St. Columba) という文書に記録されているのだが、その著者は「竜は巨大な轟音と強い揺れとともに現れた」と書いている。
(続く)
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