順序が逆ですが、ボイジャー2号は1977年8月20日、1号は同年9月5日に打ち上げられました。それから35年、両探査機とも太陽圏の最外層(太陽圏から恒星間空間に移行する遷移領域、図)を飛行中で、今なお観測データを送ってきています。地球からの距離は、1号は182億km、2号は148億kmに達しています。地球に電波が届くのに、前者からは約17時間、後者からは約14時間かかります。最新の距離は以下のページで時々刻々更新されています:
ボイジャー探査機は木星、土星、海王星などの外惑星やそれらの衛星の神秘的で美しい写真を多数送信してきましたが、印象的な地球の写真も送ってきています。故カール・セーガン博士の著書でも有名になった「ペール・ブルー・ドット」(淡い青色の点)の写真です。セーガン博士の提案にNASAが応じて、ボイジャー1号を太陽の方向に振り返らせて撮影したものです。斜めに走る光の帯の中に見える白っぽい小さな点が地球です。光の帯は、あまりにも太陽に近いところを撮影したために生じた散乱光です。撮影した時、ボイジャー1号は地球から60億km離れていました。セーガン博士は次のように語っています ―― 「人類のすべての歴史はこのちっぽけなピクセルの上でおきたのだ。これが、われわれの唯一のふるさとなのだ」:
ご存じの方も多いと思いますが、ボイジャー1号と2号には、遠い将来、太陽系外の知的生命体に発見された場合に備えて、地球や人類についての情報を載せた金色のレコード盤(銅製の円盤に金メッキを施したもの)が取り付けられていました(写真、写真)。以下は、その詳細画像や55の言語で吹き込まれた挨拶の言葉です。日本語も入っています:
環境や進化の過程が異なり、思考過程もまったく異質で共通の知識基盤がほとんどない地球外生命体に、地球人が使っている数字や時間・重さ・距離の単位を説明し、レコード盤の情報を解読してもらうための情報も描き込まれています:
解読を困難にするための「暗号」に対して、上の例のように、だれにでも、あるいは「何」にでもわかってもらえるように情報を記録する方法を「逆暗号」というのだそうです。1974年に地球から2万5000光年の離れたヘルクレス座の球状星団 M13 に向けて送信されたアレシボ・メッセージもその例です。
話が少し飛躍します。原子炉から出る使用済み核燃料などの放射性廃棄物を数万年から十数万年にわたって埋設保管する施設では、危険な放射性物質を未来の人類(言語は数千年で大きく変化します、また、原子力に関する技術や知識を失っているかも知れません)、あるいは人類絶滅後に繁栄する別の生物が誤って掘り出してしまわないようにする必要があります。言語や、場合によっては思考過程も今とは異なる人や別の生き物に、埋設物の危険性をどうやって伝えるかという議論でも逆暗号という考え方が登場します。
以下は、レコード盤に記載されている太陽系の位置を知らせる情報です。パルサーの位置を基準にして太陽の位置を示し、さらに太陽の分光パターンも示されています。進歩した異星人なら、比較的容易に太陽や地球の位置を割り出せるのではないでしょうか。ボイジャーが侵略的なエーリアンに拾われないように願いたいものです:
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