2010年8月19日木曜日

サモア津波は複数の巨大地震が原因 (その 1)

昨年 9月末にサモア諸島に津波をもたらし 200人近い死者を出した M8.1 の大地震(USGS資料)は、トンガ・ケルマディック海溝から西に向かってオーストラリア・プレートの下に沈みんでいる太平洋プレートの内部で起きた正断層型の地震とされてきました。このブログの当時の記事 「サモア諸島南方で M8.3」 にも以下のように書いてあります:
USGS が発表している震源位置が正しいとすると、今回の大地震は、トンガ・ケルマディック海溝の屈曲部で発生しました。同海溝は、ニュージーランドの東海岸から北北東に向かって直線的に伸びていますが、サモア諸島の南方に達したところで大きく西方向に曲がっています。この屈曲部の東側で、太平洋プレートに生じた正断層が今回の地震の原因と考えられます。

しかし、サモアなどを襲った津波のパターンがこの地震ではうまく説明できないことなどから、さまざまな研究グループが解明に取り組んできました。このほど、2つの研究チームが異なるデータと異なる解析手法を使って得た研究成果がイギリスの科学誌『Nature』 の最新号に掲載されることになりました。2つのチームの結論は大筋で一致するものです:

記事をまとめると次のようになります:
カリフォルニア大のソーン・レイ教授やカリフォルニア工科大の金森博雄名誉教授らの研究チームは、地震波を詳細に解析。最初の M8.1 の地震は正断層型で、太平洋プレート内部が裂けるように発生。その後約 3分半以内に近くのプレート境界(オーストラリア・プレートと太平洋プレートの境界)が滑る形で M7.8 の逆断層型地震が 2回起きたと推定。

ニュージーランドを中心とする研究チームは、GPS(衛星利用測位システム)付きブイによる海面水位の測定値と計算モデルを比較。プレート境界でゆっくりとした逆断層型の地震(M8.0)が先に発生し、数分後に太平洋プレート内地震(M7.9)が起きたと推測。

以下は、カリフォルニア大学のチームによる説明図と地図です:

以下は、ニュージーランドを中心とするチームによる説明図+地図です:

(続く)


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