そのような状況下、アメリカ空軍が開発を進めていた無人スペース・プレーン X-37B が、4月 19日にフロリダ州のケープ・カナベラルからアトラス 5型ロケットで打ち上げられることになっています:
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上記記事に掲載されている画像でわかるように、機体の形状はスペースシャトルに似ています。サイズは全長 9m ほどで、スペースシャトルよりはずっと小型です。アトラス 5型ロケットの先端部に取り付けられた特大のフェアリング内に収容されて打ち上げられ、軌道周回後は、自動操縦で滑空してカリフォルニア州南部のバンデンバーグ空軍基地に着陸することになっています。
今回の打ち上げでは、どのくらいの期間、軌道上にとどまり、いつバンデンバーグ空軍基地に帰還するのか公表されていません。スペースシャトルの場合、電源に使用している燃料電池の容量に制約があり、宇宙にとどまれるのは数週間ですが、X-37B は太陽電池を電源としており、さらに無人であるため最長 9ヶ月間の軌道飛行が可能とされています。
X-37B は、当初 NASA が開発をしていましたが、予算不足のため 2004年に計画を中止しました。その後、DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency 国防総省国防高等研究事業局)が開発を引き継ぎ、2007年に空軍にプロジェクトを移管して今日に至っています。
空軍は、X-37B (あるいはその改良型)を何機製造し、どういう目的に使う計画なのか明らかにしていません。そのため、さまざまな推測がなされています。機体のサイズの割には大きなロケット・エンジンが搭載されているため、宇宙空間で軌道を自由に変えて紛争地域の偵察を臨機応変におこなう、あるいは敵の人工衛星を調査・捕捉・無害化する、緊急事態に際して必要な装備を迅速に宇宙空間に配備する、さらには以下の図のようなペネトレーターを搭載して、敵の地下壕や地下施設を宇宙空間から攻撃するなど、さまざまに取りざたされています:
空軍で X-37B の開発を推進する主幹部門が、緊急即応能力の開発と配備に責任を持つ部局であることが、X-37B の目的を推測する際の鍵となっています。