2009年11月10日火曜日

アポロ 11号の着陸地点の最新画像 (その 2)

LRO に関連して、おもしろい写真が以下にあります。陰謀説好きの人たちは、この写真を見て、アメリカが秘密兵器のテストをしていると妄想を膨らませるかも知れません:
2枚の写真は、いずれもクリックすると拡大します。

ドー ム状の建物からレーザー光線が月に向かって照射されています。実際には月ではなく、月の周囲を回っている LRO(大きさは、ほぼミニバンに匹敵)に向けて、毎秒 28回のパルス状のレーザー光線を送っているものです。LRO からの反射を計測することによって、LRO の位置を 10cm 以内の誤差で求めることができるそうです(マイクロ波を使った場合は 誤差が 約 20m)。

LRO は、将来の有人月探査に備えて、月面の詳細な地図を作ることを目的としています。月面の地形を詳細に計測するには、計測する LRO 自身の位置が精確にわかっている必要があります。そのため、レーザーを使った LRO の位置計測がおこなわれているわけです。

LRO の位置を厳密に把握することによって、月の重力異常もわかります。重力異常がわかれば月の内部構造も推定することができます。日本の月探査衛星「かぐや」でも、月の重力異常の計測がおこなわれました:
ち なみに、重力異常という言葉の「異常」は、空間的な平均値との差という意味で使われています。宏観異常などの「異常」とは意味が異なります。地震前兆関係 の掲示板やブログなどで「ブーゲー異常」あるいは「ブーゲ異常」という言葉を振り回している人を見かけますが、この言葉の意味を誤解しているようです。

(完)