2009年10月28日水曜日

土星環の消失 (その 5)

カッシーニ探査機のミッションは、当初 4年間と設定され、2008年 6月に終わることになっていました。しかし、探査機の状態が良いこと、科学的に大きな成果を上げていること、2009年の土星と太陽や地球との 15年に 1度の特別な位置関係は千載一遇の好機であることなどを考慮して、2010年 9月までの延長が認められ、予算が付けられました。

現在 は、さらにミッションの期間を延長することが検討されています。もし、延長が認められれば、カッシーニ探査機は 2017年まで土星周回軌道にとどまって観測を続けます。その後、これまではリスクが高いとして避けてきた環の内部に入り込む軌道をとって観測をおこな い、最終的には 2017年 9月 15日に土星の大気圏に自ら突入して、使命を終了することになります。

太陽から遠い土星近傍では、太陽の光が弱く太陽電池では出力が不足するため、カッシーニ探査機には原子力電池が搭載されています。この電池には放射性物質が使われているので、カッシー ニが土星大気圏に突入し消滅すれば放射能汚染を引きおこすことになります。しかし、土星大気の全質量に比べれば無視できるほどの量ということで、問題には ならないということのようです。

(完)