下の図は、USGS(米国地質調査所)のウェッブ・サイトに掲載されているものです。震央は陸域にあります。津波に直結するような海底地震ではなかったわけです。気象庁が当初、津波注意報を出すことをためらった理由の一つかも知れません。
今回の大地震を考えるには、震源周辺のプレートの基本的な配置を頭に入れておくことが重要ですが、震源のあるインドネシア東部のプレート構造は、非常に複雑です。震源周辺を拡大した上の図でも、震源の周囲に4本の構造線が走っています。それらについて、簡単に説明します:
【図の上端中央から真下に震源に向かってのびる赤い線】
アユ・トラフとよばれ、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界です。アユ・トラフを北にたどると、パラオ海溝、ヤップ海溝を経て、マリアナ海溝(南端部は世界最深のチャレンジャー海淵)につながります。【赤い線の下端から右にのびるピンク色の線】
フィリピン海プレートと太平洋プレートの相対運動の極は、この図の北方、パラオの南付近にあります。この極より北では、両プレートは収束傾向を示しますが、極より南にあるアユ・トラフは拡大する傾向を持っています。
太平洋プレート(研究者によってはカロリン・プレート)の沈み込み帯です。【震源の上側を左右に走るピンク色の線】と
【震源の下側を左右に走る緑色の線】
左横ずれ断層です。この地域では、フィリピン海プレートと太平洋プレートはともに南西ないし西南西方向に沈み込んでいます。この斜め沈み込みの西向き成分に引きずれる形で、左横ずれ断層が発達しています。今回の大地震は、フィリピン海プレートの南端部で発生しました。そこは、フィリピン海プレートと太平洋プレートを含む少なくとも3つのプレートが複雑に影響しあう場所です。ひるがえってフィリピン海プレートの北端部はどうでしょうか。そこは関東地方とその周辺で、やはりフィリピン海プレートと太平洋プレートを含む3つのプレート(最新の説では4つ)が関係する場所です。そういう意味で、今回の大地震は暗示的であり、新年早々嫌な場所で大地震が起きてしまった、という印象を持っています。
この断層線を西にたどるとフィリピン海溝に、東にたどると南ビスマルク・プレートを形成する海嶺のトランス・フォーム断層に接続しています。