先月、スペースシャトル・エンデバーの女性宇宙飛行士(Heidemarie Stefanyshyn-Piper氏、長い名前です)が、国際宇宙ステーション(ISS)での船外作業中にツールバッグを紛失しました。船外活動中に失った工具や部品としてはこれまでで最大(約14kg、50cm×30cm、10万ドル)とのことです。
以下は、そのツールバッグを紛失したときの映像です。“Oh boy!”(あら、まぁ)と叫んでいますが後の祭りです。大きな布製の容器の中にある何かを捜しているときに、じゃまになるツールバッグを脇にどけようとして手を離してしまったようです。見方によっては、捜しているものがなかなか見つからず、いらいらしてツールバッグを放り投げてしまったようにも思えます。工具を失ったために、エンデバーのスケジュールに大きな遅れが発生しました。女性宇宙飛行士は、船外活動から ISS にもどって仲間と顔を合わせるときが一番つらかったと、のちに述懐しています。
船外活動用の宇宙服には SAFER(Simplified Aid For Extravehicular activity Rescue)jetpack という装置が、背中にせおった生命維持装置の下部に取り付けられています。これは窒素ガスのジェットを噴射して宇宙空間での移動を可能にするもので、宇宙飛行士がジョイスティックで噴射方向を操作することができます。これを使えば、漂っていくツールバッグを追いかけて回収することもできたのではないかと思いますが、SAFER はあくまでも命綱が外れて宇宙飛行士が宇宙空間に放り出されたときなどの非常用ということで、今回は使わなかったようです。