2015年2月28日土曜日

Mr. Spock 死す


「スタートレック」シリーズで、常に沈着冷静な科学担当将校役を演じたレナード・ニモイ氏が2月27日に亡くなりました。死因は慢性閉塞性肺疾患(COPD)。バルカン人と地球人の間に生まれ、論理(ロジック)を至上のものと考える、理性の塊のような役柄でした。

オバマ大統領やNASAの長官も声明を出しています:

以下は、ニモイ氏の最後のツイートです。「人生は庭のようなものだ。完璧な状態になる瞬間はあるが、それを保つことはできない。記憶の中以外では。LLAP」:

〝LLAP〟は、バルカン人の挨拶の言葉〝Live long and prosper〟(「長く生き栄えよ」、「長命と繁栄を」)の略です。

映画の中では、カーク艦長とスポックの間で次のようなやりとりがありました:
Life is not a dream.
Go to sleep, Spock.
― Spock and Kirk, analyzing "Row, Row, Row Your Boat"
The Final Frontier
(Jill Sherwin "Quotable STAR TREK", POCKET BOOKS, 1999)

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2015年2月27日金曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-43)


1月31日付「近畿圏中心領域大型地震 (続報-42)」の続報です。

八ヶ岳南麓天文台の串田氏が更新情報を2月26日付で出しています:

今回の更新情報の結論をまとめると以下のようになります:
  • 2つの長期継続前兆群 No.1778 と No.2443 は同一地震の前兆である可能性が高い

  • No.1778 と No.2443が同一地震の前兆だとすると、7月中旬以前の対応地震発生はない

  • 6月13日ごろにこれらの前兆群が終息すれば、7月末前後が対応地震の発生時期

  • 対応地震発生場所はこれまでどおり近畿領域(琵琶湖とその西方など)の可能性が高いが、東北領域(新潟県、福島県など)も考えられる (詳細は「続報 No.083」と「続報 No.084」の地図参照)

串田氏は、2つの長期継続前兆群が同一の地震の前兆であると考えるに至った理由として、両者に以下のような類似点があることをあげています:
  • 共通の観測装置に前兆が出現している
  • どちらも長期継続前兆(2年以上継続)で、段階的な出現・終息のパターンがある
  • どちらもM7.5±以上の規模を示唆している
  • どちらも陸域の震源を示唆している
  • どちらも午前9時前後または午後6時前後の地震発生時間帯を示唆している

現時点での推定をまとめると以下のようになります:

時期 7月31日±3日
(6月13日前後に前兆が終息した場合)
震央 近畿領域(推定領域A) または 東北領域(推定領域B)
領域Aの方が可能性高い
(「続報 No.083」と「続報 No.084」の地図参照)
規模 M7.8±0.5 (陸域で深さ10~30kmの浅い震源)
発生時間帯 午前9時±2時間 または 午後6時±3時間(参考情報)


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2015年2月26日木曜日

準惑星ケレスに謎の輝点


NASAの探査機ドーンは、2012年9月に準惑星ベスタの周回軌道を離脱した後、別の準惑星ケレスに向かっていましたが、来る3月6日にケレスの周回軌道に入る予定です。

ケレスとの距離が縮まるにつれて、探査機から送られてくるケレスの姿も徐々に鮮明になってきていますが、以下は2月19日に4万6000kmの距離から撮影された画像です。まだ画像が不鮮明な時から、ケレスの表面には明るい斑点があることが話題になっていたのですが、この画像ではそれが2つの明るい輝点からなり、同じクレーターの中にあることが見てとれます:

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA
(クリックで拡大)

ドーン・ミッションの研究責任者は、この輝点の正体について火山類似の現象によるものではないかと推定していますが、断定はしていません。ドーンがケレスの周回軌道に入って、より高解像度の画像が得られるようになれば、謎が解き明かされるかも知れません。

なお、ベスタの直径は525km、ケレスは950kmです。

少し古い記事ですが、ケレスについては生命の存在や水の噴出が取りざたされています:

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真冬にクマ出没 ― 岐阜県高山市


2月23日、岐阜県高山市岩井町(地図)で、通常は冬眠中であるはずのツキノワグマの親子が目撃されました。「市によると2月に出没するのは珍しい」:

記事には「2011年にも2月に現れたが、この時は直前に地震があり、揺れで目覚めた可能性があった」とも書かれています。東日本大震災の1ヶ月前です。


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2015年2月25日水曜日

富士山の地磁気に変化


2月24日、第131回火山噴火予知連絡会が開かれました。以下はその際に使われた資料の1つですが、124ページ目「富士山における全磁力連続観測結果」に、富士山の地磁気について興味深い観測データのグラフが掲載されています:
Credit: 国土地理院・東京大学地震研究所

国土地理院と東京大学地震研究所は、富士山頂より北側に3ヶ所、南側に1ヶ所の地磁気の観測点を設けて、全磁力の観測をおこなっています。1番上から3番目までのグラフは山頂より北側の観測点、4番目のグラフは山頂より南側の観測点のデータを表しています。グラフの横軸は、2012年10月1日から2015年1月31日までの期間を表しています。2014年10月から2015年1月のデータに関しては、「ノイズの簡易修正のみ行った暫定値」とのことです。

グラフから読み取れることをまとめると以下のようになります:
  1. 1番目と4番目のグラフには毎年4~5月ごろをピークとした「うねり」が見られますが、これは年周変化とみられるそうです。

  2. 1番目と2番目のグラフには、右肩上がりの傾向(1年あたり2ナノ・テスラ程度)が見られます。1番目、2番目と同じく山頂の北側の観測点のデータを示す3番目のグラフにはこのような傾向が見られないので、「ローカルな変化が起きていると考えられる」とのことです。

  3. 山頂北側の3つの観測点のデータ(1番目、2番目、3番目のグラフ)では、2015年1月に突然1ナノ・テスラ程度の減少が現れています。

上の(2)と(3)については、「精察とともに今後も推移を見守る必要がある」とのことです。

全磁力が、山頂よりも北側で増大し南側で減少するのは、山頂直下の温度が上がり熱消磁が起きていることを示していますので、(2)で述べた右肩上がりの傾向は気になります。

また、(3)で述べた、今年1月に山頂北側の3観測点で観測された全磁力の減少は何を意味しているのでしょうか。全磁力の変化は、熱消磁だけでなく地下の圧力の変化によっても生じることがあるとのことですので、やはり気になります。

全磁力観測については以下の資料を参照してください:

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2015年2月24日火曜日

西之島の警戒範囲を縮小


2月24日18:00、西之島(地図)の警戒範囲が縮小されました。「島の中心から概ね6km を概ね4kmに縮小」:

警戒範囲の縮小は、西之島の噴火の勢いが衰えたからではなく、「文献調査により、一般に、海上まで影響が及ぶ海底噴火は概ね水深 400m以浅の場合に限られ、うち水深数十m以浅の噴火の際にベースサージを伴う場合があること」がわかったためとのことです。


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十勝岳の噴火警戒レベル引き下げ ― 北海道


2月24日、十勝岳(地図)の噴火警戒レベルが「2(火口周辺規制)」から「1(平常)」に引き下げられました。山体浅部の膨張によるとみられる地殻変動の変化率が横ばいで推移、浅部の熱水活動の活発化を示すと考えられる常時微動の振幅レベルも低下。「火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は認められなくなりました」:

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プレートテクトニクス 2.0 ― プレートは固くない (その1)


海洋プレートは冷却するにつれて厚みを増すことや、海溝やトラフに沈み込む時には曲がるように変形することはよく知られています。これらに加えて、昨秋に発表された論文では、冷却によって水平方向にも変形すること、その変形によってプレート内地震が発生することが示されています:

以下は、論文を発表した研究者の一人が属するネバダ大学レノ校のプレスリリースの一部をテキトー訳したものです。タイトルは「テクトニック・プレートは固くなく、冷却過程において水平方向に変形することが研究によって示された」、サブ・タイトルは「ネバダ大学レノ校とライス大学の教授たちがプレートテクトニクスの前提に挑戦する」です:
地球の外殻を構成するテクトニック・プレートというジグソーパズルのピースは固くはなく、私たちが高校で習ったようにはぴったりと組み合わさらない。

ネバダ大学レノ校の准教授 Corné Kreemer と彼の同僚であるライス大学の Richard Gordon によって〝Geology〟誌に発表された研究は、太平洋プレートの変形を定量化し、プレートは固いというプレートテクトニクスというパラダイムの中心にある近似に挑戦している。

大規模な数値モデルと、世界最大のGPSデータ処理センター(ネバダ大学レノ校にあるネバダ測地学研究所)から得たGPS速度のデータを併用して、Kreemer と Gordon は、地球の最外殻であるリソスフェアの冷却によって、太平洋プレートのある部分が他の部分よりも速い速度で水平方向に収縮していることを示した。

(続く)

その時、冥王星はどこにいた


冥王星(および太陽系外縁天体)探査機〝ニュー・ホライズンズ〟のチームが情報発信している〝NASA New Horizons〟のツイッターから、冥王星の軌道図です。遠日点を通過したのはアメリカで南北戦争が終わった年。日本は幕末で第2次長州征伐。近日点通過は平成元年。冥王星の発見から85年が経過していますが、まだ太陽の周りを半分弱ほどしか公転していません:

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2015年2月23日月曜日

草津白根山で火山性地震増加


草津白根山(地図)で、本日(2月23日)午前2時ごろから昼ごろにかけて火山性地震が増加しました。震源は火口湖の湯釜付近です:

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ムツエラエイ捕獲 ― 高知県室戸市


2月17日、高知県室戸市室戸岬町(地図)沖の定置網に、深海性のエイ・ムツエラエイが入っているのが見つかりました。全長66cm。「(ムツエラエイの発見例は)日本では少なく、標本は10個体もないだろう」(高知大学教授・魚類分類学):

今回ムツエラエイが入った定置網では、「2013年にツラナガコビトザメ78匹やリュウグウノツカイ1匹、2014年にはホテイエソ114匹など珍しい深海魚が次々と捕獲されている」とのことです。


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2015年2月21日土曜日

彗星まで6km ― ロゼッタ探査機


2月14日午後9時41分(日本時間)、欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機・ロゼッタが、67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の表面から6kmにまで接近しました。この接近の際に表面から8.9kmの地点から撮影された画像が公開されています。これまでで最も解像度の高い画像で、1画素が76cmに相当しています。ちなみに、ジェット旅客機の巡航高度は10km前後です:

画像はイムホテップと名づけられた領域を撮影したもので、画面左下には地層のようなものが写っています。さらに、円形で内部が平坦な地形の高まりや巨大な岩塊が散在しています。

地球の地層は堆積作用によって形成されますが、彗星にそのような作用はありません。彗星が離心率の大きい楕円軌道を周回し、太陽へ近づいたり遠ざかったりを繰り返すうちに、表面が融けたり凍結したりすることによってこのような層の重なりができたのではと考える学者もいます。

円形の地形の高まりについては、彗星の内部からガスなどが噴出した痕跡ではないかと考えられています。


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2015年2月20日金曜日

吾妻山の傾斜変動が加速


吾妻山 浄土平観測点での傾斜変動
(2014年1月1日~2015年2月19日)
吾妻山(地図)で、火口方向が上がる傾斜変動が1月26日以降大きくなっています。また、山体の膨張を示すと考えられる地殻変動も継続しています。右のグラフと以下は、気象庁が2月20日に発表した「平成27年 No.08 週間火山概況 (平成27年2月13日~2月19日)」からの引用です:
浄土平(大穴火口の東南東約1km)の傾斜計では、2014年4月頃から緩やかな西(火口方向)上がりの変動が継続していますが、2015年1月26日以降はその変化率が大きくなっています。また、GNSS連続観測では、2014年9月頃から一切経山南山腹観測点(大穴火口の北約500m)が関係する基線で緩やかな変化がみられており、一切経山付近の膨張を示唆していると考えられます。

以下の表は、気象庁が毎月発行している「吾妻山の火山活動解説資料」などから火山性地震と火山性微動の発生回数を抜き出したものです。火山性地震については、具体的な数値が記載されず、「少ない」、「やや多い」などと書かれた月があります:

年・月 火山性地震 火山性微動
2013年
1月
0 0
2月 少ない 0
3月 少ない 0
4月 少ない 0
5月 少ない 0
6月 0 0
7月 少ない 0
8月 11日から12 日にかけて、大穴火口付近を震源とする火山性地震が連続して発生し、「多い」状況。 17日以降は観測されず、「少ない」状況に戻る。 11日に1回、12日に2回、13日に1回発生(継続時間は、約10分、約5分30秒、約2分40秒、約2分)
9月 少ない 0
10月 11 0
11月 86 (10日から11日にかけて、大穴火口付近を震源とする火山性地震が連続して発生し、2日間で 44回と「多い」状況) 0
12月 29 0
2014年
1月
少ない 0
2月 少ない 0
3月 少ない 0
4月 少ない 0
5月 少ない 0
6月 1 0
7月 38 (20日に大穴火口付近を震源とする火山性地震が22回発生し、一時的に「多い」状況となる) 0
8月 少ない 0
9月 2 0
10月 91 (12日から29日にかけて、大穴火口直下付近が震源と推定される火山性地震が増加し、「やや多い」状況) 0
11月 130 (17日から22日にかけて、大穴火口直下付近が震源と推定される火山性地震が増加し、「やや多い」状況) 0
12月 576 (震源は大穴火口直下付近の浅い所) 12日に1回発生(継続時間は約35分)
2015年
1月
744 (1998年以降で最多、震源は大穴火口付近直下のごく浅い所) 28日に1回発生(継続時間は2分50秒)
2月 77 (16日15:00までの回数、震源は大穴火口付近直下のごく浅い所) 14日に1回発生(継続時間は8分50秒)


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伊豆大島で火山性地震増加


2月17日から18日にかけて、伊豆大島(地図)西方沖で火山性地震が増加しました。有感地震も2回観測されています。以下は、気象庁が2月20日に発表した「平成27年 No.08 週間火山概況 (平成27年2月13日~2月19日)」からの引用です:
火山性地震は少ない状態で経過していましたが、17日と18日に伊豆大島の西方沖を震源とする火山性地震が一時的に増加しました。

(中略)

GNSSによる観測では、地下深部のマグマの供給によると考えられる島全体の長期的な膨張傾向が続いています。この傾向は2011年頃から鈍化していましたが、2013年8月頃から再び膨張傾向となり、2014年8月頃からはその膨張率に増大傾向がみられています

以下の関連記事リストでも分かるとおり、伊豆大島で火山性地震が一時的に増加することはこれまでにもありました。噴火に直ちに結びつくわけではありません。


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台湾も地震予知衛星打ち上げへ


台湾のNSPO(National Space Organization、國家實驗研究院國家太空中心)は、来年第1四半期に地震予知衛星 FORMOSAT-5(福衛五號)を打ち上げるとのことです:

以前打ち上げられた FORMOSAT-1(福衛一號)は、2002年に台湾東北部の宜蘭県で発生したN6.8の地震の5日前に、台湾上空の電離層のイオン密度が異常に低下する現象を検知し、多くの科学者はこの現象を観測することが地震予知の最良の方法だと考えているとのことです。

FORMOSAT-5には國立中央大學が開発した電離層観測装置が搭載されますが、これは初号機に積まれた装置の8倍のサンプリング・レートを持ちながらもはるかに軽量小型化(14kg→4kg)されており、費用も安いとのことです。

フランス、ロシアを筆頭に、各国で宇宙から電離層の変化を観測して地震を予知する取り組みが進められていますが、日本はこの分野で完全に取り残されています。日本はフランスから共同研究を持ちかけられたことがありますが、予算が無いことを理由に断っています。先日のフジテレビの報道番組(安藤優子キャスター)によると、地震予知の研究予算が活断層探索や長期確率の算定(30年以内云々)などの「既得権益」に貪られてしまって、本当の意味での地震予知(短期予知)に使われるのは予算の0.08%に過ぎないとのことです。


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市街地にも火口出現の可能性 ― 静岡県伊東市


以下の記事に「伊豆東部火山群のハザードマップと避難」という地図が掲載されています。火口が出現する可能性のある範囲に伊東市役所や伊東駅が入っています。「伊豆東部火山群は、決まったマグマの通り道がなく、火口の位置が変わるのが特徴」:

伊東市のウェブサイトには「洪水ハザードマップ」と「津波ハザードマップ」は載っているのですが、噴火に備えたハザードマップはまだ掲載されていないようです。


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小惑星 2015 DD1 が地球接近


2月17日午後4時39分(日本時間)、小惑星〝2015 DD1〟が地球に0.10LD(約3万9000km)まで接近しました。

気象衛星「ひまわり」などの静止衛星の軌道は赤道上空の高度35786kmです。地球の中心からの距離は、これに地球の赤道半径6378kmを加えて42164km。つまり、〝2015 DD1〟は静止衛星よりも地球に近いところを通過したことになります。

この小惑星は最接近後の2月18日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は 2~5m と推定されています。

最接近時の地球との相対速度は、秒速8.2km(時速約3万km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD
2015 DD1 2~5 2月17日 16:39 0.10

*: 1LD=地球から月までの平均距離


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2015年2月19日木曜日

「次は北信越が危ない」


以下は、村井俊治・東大名誉教授の地震予測についての記事です。「村井氏が毎週発行するメルマガの最新号(2月11日号)で、『奥羽山脈エリア』と同様に要警戒地域としたのが『北信越地方』だ」、「村井氏は14年以降に発生した震度5以上の地震9件をすべて的中させているだけに、用心するに越したことはない」:

なお、昨日の「東北も危ない」の記事で、「2月6日の徳島県南部を震源とする最大震度5強の地震についても、記事では『南海、東南海エリアの大地震を警告していた』となっており、四国内陸の『徳島県南部』とは違うように思われます」と書きましたが、私の早とちりだったようです。以下の記事によると「(南海・東南海エリアの中でも)特に徳島県で異常変動が顕著でした」、「徳島県を中心に、かなりの歪みが蓄積されていると考えられます」と、12月17日付のメールマガジンで的確に指摘されていたようです:

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小惑星 2015 DB が地球接近


2月19日午前4時27分(日本時間)、小惑星〝2015 DB〟が地球に1.27LDまで接近しました。

この小惑星は2月17日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は 7~16m と推定されています。

最接近時の地球との相対速度は、秒速8.9km(時速約3万2000km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD
2015 DB 7~16 2月19日 04:27 1.27

*: 1LD=地球から月までの平均距離


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2月の地震についての「地震奏」


2月に入って、6日に徳島県南部、同17日に岩手県沖と、立て続けに強い地震がありましたが、平安時代の公家・藤原行成の日記『権記』に、2月に起きた地震についての記録があります。寛弘3年(西暦1006年)2月2日午前8時前後に都であった地震について、その翌日に陰陽師の県奉平(あがたのともひら)が天皇に奏上した「地震奏」を書き写したものです。

「地震奏」は次のように始まります:
今月二日乙亥、時は辰の剋。地震う 〈月は奎宿を行く〉

この後、2月の地震、あるいは月が奎宿にある時の地震について古来の文献からの引用が続きます。長いので表にまとめます:

文献 内容
『天文録』 「地が動き震うのは、民の憂いである」
『京房妖占』 「地が春に動くのは、歳が昌んではない」
『天地瑞祥志』 「内経に云うには、『二月に地が動くのは、三十日の間に兵が起こることがある』と。また云うには、『月が奎宿を行く時に地が動くのは、刀兵が大いに起こり、国土を損害し、客が強く主が弱い』と。また云うには、『月の初旬に地が動くのは、商人を害す』」
『内論』 「月が奎宿を行く時に地が動くのは、竜が動く所であって、雨が無く、江河は枯渇し、その年は麦が宜しくない。天子は凶で、大臣は災いを受ける」
『雑災異占』 「地が動くのは女官に喪が有る。天下の民は多く飢え、買米を騰貴させる」
『東方朔占』 「地が二月に動くのは、その国は昌んではない。長者を殺し、大喪がある」


現代語訳は、以下からの引用です:

「刀兵が大いに起こり、国土を損害」、「天子は凶」とか「長者を殺し、大喪がある」など物騒な内容が含まれています。現代に当てはめると、「大臣は災いを受ける」とは政治生命を絶たれる大臣が出るということか、「商人を害す」とは中東で日本人の商社員が殺害される暗示か、などと考えてしまいます。しかし、寛弘3年2月は、西暦では3月に相当しますし、歴史年表を調べてみても「地震奏」に書かれているようなことは起きていません。

感心したのは、陰陽師の県奉平が地震の翌日には多数の文献を引用した報告書「地震奏」を清書して天皇に奏上していることです。コンピューターによる検索機能のない時代に、多数の文献から適切な引用ヶ所を見つけ出すのは大変なことだったと思います。

なお、有名な陰陽師の安倍晴明は、この前年の寛弘2年に没したとされています。


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2015年2月18日水曜日

「東北も危ない」


昨日(2月17日)午後1時46分ごろ、岩手県沖でM5.7、最大震度5強の地震(資料)がありました。すぐに思い出したのは以下の2月8日付記事です。村井俊治・東大名誉教授が東北地方に大きな地震を予測しているという内容です:

「すわ的中か」と思いましたが、記事をよく読むと「奥羽山脈、日本海側は今後も〈要警戒〉」となっており、今回の岩手県沖とは場所がずれています。また、2月6日の徳島県南部を震源とする最大震度5強の地震についても、記事では「南海、東南海エリアの大地震を警告していた」となっており、四国内陸の「徳島県南部」とは違うように思われます。

細かなことを抜きにすれば大筋で「的中」したと言えるかも知れませんが、ロバート・ゲラー東京大学教授のような「地震は予知できない」派の専門家は納得しないでしょう。

ひょっとすると、2月6日の徳島県南部の地震や昨日の岩手県沖の地震は村井氏が予測していた地震ではなく、予測に対応する地震はこれから発生するのかも知れません。


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2015年2月17日火曜日

かつお節に発がん物質


以下は、EU(欧州連合)が禁じている「かつお節」の持ち込みが、ミラノ国際博覧会に限って認められることになったことについての発表や報道を時系列に並べたものです:
  1. ミラノ国際博覧会への日本産食品の持込みにおける特例措置について (農林水産省)
  2. かつお節、持ち込み可=EUが和食に特例-ミラノ博 (時事通信)
  3. かつお節など特例で持ち込み可 ミラノ万博で和食をPR (朝日新聞)
  4. 中日春秋 (中日新聞)
  5. かつお節 ミラノ万博に特例で輸出へ (NHK)

なぜEUが「かつお節」の輸入を規制しているかについて、はっきりと書いているのは時事通信の記事と中日新聞のコラムだけです ―― 「かつお節は製造過程で生成される発がん性物質『ベンゾピレン』含有量がEU基準を超えないことが条件」、「欧州連合(EU)はかつお節の製造過程で生成されるという発がん性物質を問題視し、輸入を規制している」。

その一方で、農林水産省の発表文、朝日新聞とNHKの記事には曖昧な記述しかありません  ―― 「かつお節は、EUの厳しい衛生基準を満たした施設からでないと輸入ができなかったが、化学成分の基準値を満たせば持ち込みが可能になった」、「かつお節は、EU側が定める衛生管理の基準に適合する工場がないとして、日本からの輸出が禁止されています」。関連業界への配慮でしょうか。

「かつお節」は色々な料理に使われていて、摂取せずに過ごすことはほぼ不可能です。せめて、「うどん」や「そば」をいただくときには、関東風の鰹だしではなく関西風の昆布だしを選ぶことにしましょうか。


大西洋中央海嶺でM7.1


2月14日午前3時59分(日本時間)、大西洋中央海嶺北部のCharlie-Gibbsトランスフォーム断層でM7.1の地震が発生しました(震央地図)。右横ずれ断層が動いたことによる地震です:

Charlie-Gibbsトランスフォーム断層を含むCharlie-Gibbs破砕帯では、過去100年間にM6.3~7.0の地震が5回発生しているとのことです。


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宏観異常情報の収集開始 ― 高知県 (続報-18)


高知県庁のウェブサイトに掲載されている宏観異常現象の表が、2月16日に更新されています。1月分の異常報告件数は0件でした:

2月6日に隣の徳島県南部を震源とする震度5強、M5.0の地震(資料)がありましたが、来月公表される2月分の集計に直前前兆の類いが何か現れるでしょうか。


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2つの小惑星が地球接近


2つの小惑星、〝2015 CT13〟と〝2015 CL13〟が相次いで地球に接近しました。

〝2015 CT13〟の接近は2月11日午後6時26分(日本時間)。接近距離は1.84LD。翌12日午前3時22分(日本時間)には、月にも1.05LD(約40万km)まで接近しました。

最接近時の地球との相対速度は比較的遅く、秒速6.49km(時速約2万3000km)でした。

この小惑星は、最接近後の2月13日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は29m前後と推定されています。

〝2015 CL13〟の接近は2月16日午前7時52分(日本時間)。接近距離は2.02LDでした。

最接近時の地球との相対速度は、秒速13.59km(時速約4万9000km)でした。

この小惑星も2月13日に発見されたもので、やはりアポロ群に属しており、直径は20~44mと推定されています。


小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD
2015 CT13 29± 2月11日 18:26 1.84
2015 CL13 20~44 2月16日 07:52 2.02

*: 1LD=地球から月までの平均距離


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2015年2月16日月曜日

朝鮮半島(韓国)の地震


朝鮮半島(または韓国)で2014年に発生した地震の統計を伝える記事です。集計の範囲が朝鮮半島全体なのか、韓国内限定なのかに注意する必要があります。『中央日報』によると「M2.0以上の地震が発生した回数は合計49回」で、「(例年の)地震発生年間平均回数である47.7回とほぼ同じ水準」、「有感地震発生回数は11回で、例年の年間平均8.7回に比べて多くなった」。また、『朝鮮日報』によると「朝鮮半島では51回の地震が発生した。回数は2005年から10年間の年間平均(52.9回)とほぼ同じ」とのことです:

震度階の定義や観測機器の分布密度が異なるので単純な比較はできませんが、日本では昨年1年間に2045回の有感地震が発生しています:

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四国の地震


防災科学技術研究所
AQUAシステム メカニズム解カタログ
より
2月6日に徳島県南部で発生した最大震度5強の地震では目立った被害はなかったようです。この地震は、図に示されているように横ずれ断層が動いたことによって発生したものですが、マグニチュード(速報値は気象庁がM5.0、防災科学技術研究所がM4.7)の割に揺れが大きかったのは、震源が浅いところだったことに加えて、地盤が比較的軟弱だったことによるものとみられています:

四国やその周辺ではこのところ有感地震が増えているように思います。14日にも、徳島県北部で発生した地震によって香川県で最大震度3を記録しています。

以下の『四国新聞』の記事には、過去10年間に四国やその周辺で発生した最大震度4以上の地震をまとめたが掲載されています。それによると、毎年、震度4の地震が1回または2回起きていたのですが、2011年と12年に発生がなかった後は、震度6弱、5強、5強の地震が毎年発生するようになっています。11年の東北地方太平洋沖地震を契機に、四国周辺の地震発生パターンが変わってしまったような印象を受けます:

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2015年2月15日日曜日

吾妻山で火山性微動、噴火警戒レベル引きあげ (続報-3)


1月31日付「吾妻山で火山性微動、噴火警戒レベル引きあげ (続報-2)」の続報です。

2月14日、吾妻山(地図)で継続時間8分50秒の火山性微動が発生しました。この微動の発生にともなって、火口側が上がる傾斜変動が観測されています:

一切経山付近の膨張を示唆する地殻変動も継続しているとのことです。

以下の表は、気象庁が毎月発行している「吾妻山の火山活動解説資料」などから火山性地震と火山性微動の発生回数を抜き出したものです。火山性地震については、具体的な数値が記載されず、「少ない」、「やや多い」などと書かれた月があります:

年・月 火山性地震 火山性微動
2013年
1月
0 0
2月 少ない 0
3月 少ない 0
4月 少ない 0
5月 少ない 0
6月 0 0
7月 少ない 0
8月 11日から12 日にかけて、大穴火口付近を震源とする火山性地震が連続して発生し、「多い」状況。 17日以降は観測されず、「少ない」状況に戻る。 11日に1回、12日に2回、13日に1回発生(継続時間は、約10分、約5分30秒、約2分40秒、約2分)
9月 少ない 0
10月 11 0
11月 86 (10日から11日にかけて、大穴火口付近を震源とする火山性地震が連続して発生し、2日間で 44回と「多い」状況) 0
12月 29 0
2014年
1月
少ない 0
2月 少ない 0
3月 少ない 0
4月 少ない 0
5月 少ない 0
6月 1 0
7月 38 (20日に大穴火口付近を震源とする火山性地震が22回発生し、一時的に「多い」状況となる) 0
8月 少ない 0
9月 2 0
10月 91 (12日から29日にかけて、大穴火口直下付近が震源と推定される火山性地震が増加し、「やや多い」状況) 0
11月 130 (17日から22日にかけて、大穴火口直下付近が震源と推定される火山性地震が増加し、「やや多い」状況) 0
12月 576 (震源は大穴火口直下付近の浅い所) 12日に1回発生(継続時間は約35分)
2015年
1月
744 (1998年以降で最多、震源は大穴火口付近直下のごく浅い所) 28日に1回発生(継続時間は2分50秒)
2月 71 (14日12:00までの回数、震源は大穴火口付近直下のごく浅い所) 14日に1回発生(継続時間は8分50秒)


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蔵王山で火山性微動、火山性地震増加、傾斜計にも変化 ― 宮城県 (続報-22)


1月23日付「蔵王山で火山性微動、火山性地震増加、傾斜計にも変化 ― 宮城県 (続報-21)」の続報です。

2月11日、蔵王山(地図)で継続時間約2分20秒の火山性微動が発生しました:

以下の表は、2013年1月22日に蔵王山で観測開始以来初めてとなる火山性微動が発生してからの推移をまとめたものです。じわじわと火山活動のレベルが上がってきているようです:

月日 事象
2013年
1月22日
火山性微動、観測開始(2010年9月1日)以来はじめて
1月27日 火山性微動
4月5日 低周波地震が一時的に連続して発生
4月5日
~11日
東北大学・蔵王観測点の傾斜計に変化
4月7日 坊平観測点の傾斜計で南東方向(山頂の南側)が上がるような変化、火山性微動(継続時間 3分20秒)
4月9日 火山性微動(継続時間 4分20秒)
4月21日 坊平観測点の傾斜計で南東方向(山頂の南側)が上がるような変化、火山性微動(継続時間 5分40秒)、低周波地震が一時的に連続して発生
6月4日 火山性微動(継続時間 2分20秒)
7月17日 火山性微動(継続時間 3分10秒)
7月18日 坊平観測点と東北大学・蔵王観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 3分10秒)
7月31日 火山性微動(継続時間 5分40秒)
10月19日 坊平観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 16分57秒)
10月23日 火山性微動(継続時間 1分30秒)、直後に計測基準未満の火山性微動も。その後、23日05時ごろから24日08時ごろにかけて火山性地震がやや多い状況
11月1日 坊平観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 2分30秒)。火山性微動の発生後に微小な火山性地震。10月下旬以降、火山性地震がやや多い状況。
12月4日 火山性微動(継続時間 3分40秒)。微動発生前後に低周波地震が4回発生。火山性地震もやや増加。
12月8日 坊平観測点および蔵王観測点で傾斜変動、直後に火山性微動(継続時間 8分)。火山性地震はやや増加した状態で推移。
2014年
1月3日
火山性微動(継続時間 1分)。微動発生後に火山性地震が4回発生。
8月6日 火山性微動(継続時間 8分)。微動発生後、御釜直下付近の浅いところを推定震源とする火山性地震がやや多い状況。全て低周波地震。7日にかけて55回発生、8日になって減少傾向。火山性微動発生の前から傾斜計に南東(山頂の南側)上がりの変化、9日13時ごろに終息。
8月8日 火山性微動(継続時間 短い)
8月10日 火山性微動(継続時間 短い)
9月4日 火山性微動(継続時間 短い)
9月30日 火山性微動(継続時間 4分)。微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動。微動発生後の30日19時ごろから10月1日17時ごろにかけても、南東上がりの傾斜変動。10月1日6時ごろから2日14時ごろにかけて火山性地震が9回発生し、一時的にやや多い状況。
10月5日 火山性微動(継続時間 短い)
10月8日 火口湖「御釜」が一時的に白濁
10月9日 火山性微動(継続時間 短い)
10月10日 火山性微動が2回発生(いずれも継続時間短い)
10月19日 火口湖「御釜」が一時的に白濁
11月18日 火山性微動(継続時間4分超、周期の長い成分を含む)
11月19日 火山性微動が3回発生(継続時間約7分30秒、1分30秒超、1分超)、1番目の微動は、これまでと比べて規模が大きく、南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動が先行、微動発生直後に南東下がりの変動。
12月19日 火山性微動(振幅大きい、継続時間約1分20秒)。微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動。
12月29日 火山性微動(継続時間約1分40秒)、微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動。
2015年
1月19日
火山性微動(継続時間約3分40秒)
2月11日 火山性微動(継続時間約2分20秒)


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